デザインインフォメーション
アンディ・ウォーホルの最高傑作《200個のキャンベル・スープ缶》の前で、インタビューに応じるキミコ・パワーズ氏。
ジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻が個人所蔵する
世界最大級のポップ・アート・コレクション
ジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻は、アメリカ・コロラド州を本拠地にしている。ポップ・アートが評価を確立する以前からその真価を見抜き、作家を直接支援することで、世界最大級のコレクションにまで築き上げた。
1960年代にアメリカ・ニューヨークに渡ったキミコ夫人は、アメリカ人実業家ジョン・パワーズ氏と結婚。1960年代から、パトロンおよびコレクターとしての積極的な活動により、アート・シーンに大きく貢献した。コロラドの広壮な自邸では、これらお気に入りのコレクションに囲まれて穏やかな生活を送っている。
アンディ・ウォーホルの作品としても描かれているキミコ夫人。展覧会に際して、キミコ夫人が語る。
「ここに展示してある作品は、すべてコロラドの自宅からもってきたものです。私にとってこうした作品と一緒に暮らすことが大切だと思っています。自宅に飾ってあるこうしたポップ・アートの作品を日本の方に観ていただけるのはとても幸せなことです。この機会にぜひアメリカの文化を知ってほしい。特に日本の子どもたちに、このアメリカを代表するすばらしいアートを観てほしいと思っています」
ところで、この夏は東北の被災地の美術館で、江戸時代の日本画家・伊東若冲の巡回展が開催されている。日本美術の世界的コレクターで知られるジョン・アンド・エツコ・プライス夫妻の個人コレクションの公開で、伊東若冲では最大級のコレクションが話題になっている。
こちらの展覧会もアメリカ人の著名コレクターの所蔵作品であるが、偶然かもしれないが夫人がそろって日本人であることは興味深い。アメリカを代表するポップ・アートのコレクターと江戸絵画のコレクター、その活動を陰で支えているのが共に日本人女性であることは、偶然とはいえその存在力の大きさに注目したい。
アメリカン・ポップ・アートは、理屈抜きに観ているだけで楽しくなるわかりやすい芸術だ。アメリカを代表するポップ・アートの作家たちの魅力ある作品に出会える貴重な機会だけに、ぜひとも訪れてみたい展覧会だ。
アメリカン・ポップ・アート展
From the John and Kimiko Powers Collection
会期:8月7日(水)~10月21日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
休館日:火曜日
時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般1500円、大学生1200円、高校生800円
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話:03-5777-8600 (ハローダイヤル)