デザインインフォメーション
個人コレクターの果たす役割を考える
「アートあれば Ⅱ」展が開催中
最近、アートコレクションを趣味の一つとして楽しむ人や、部屋のインテリアとしてアートを飾りたいという人が増えている。そうした作品の選び方や、購入についてのサンプルとなるような展覧会が開催されている。「アートあれば Ⅱ」展は、9人の個人コレクターの作品を鑑賞しながら、コレクションする理由や意義を考えるいい機会となっている。
T.S. collection
小沢剛《醤油画(ロイ・リキテンシュタイン)》
2012
courtesy of MISA SHIN GALLERY
A.K. collection
細江英公《抱擁 #28》
1970
courtesy of TOKI-NO-WASUREMONO
独自の基準と視点で選ばれたアート作品から
9人のコレクターの審美眼と感性を知ることができる
個人が所有するアート作品は、コレクターのプライベートな活動でもあり、コレクターごとにまとめて公開される機会はそれほど多くはない。その意味で、今回の「アートがあれば Ⅱ・9人のコレクターによる個人コレクションの場合」は、とても興味深い展覧会だ。
展覧会で紹介されている9人の個人コレクターのアート作品は、それぞれ独自の基準と視点で選ばれているのが特徴。コレクターのオリジナリティや、主観が反映されていて、その人にとってのかけがえのないアートの魅力を知るいい機会ともいえる。
展示作品は現代美術が目立つが、写真、映像、オブジェ、インスタレーションなど多彩。国内外の著名アーティストから新進気鋭のアーティストまで、さまざまな魅力を感じる作品が並ぶ。コレクターの審美眼と感性で選ばれた作品群は全部で206点。充分に見応えがあり、9人の部屋を訪問するような気分で満足できる。
実は2004年に1回目の「アートがあれば」展が開催されている。当時、注目を集め始めていた個人コレクションにスポットを当て、広がりつつあるアートシーンやコレクター像、アートの魅力を探った経緯がある。
その後、約10年たって、アートを購入することが一般的になり、コレクターの数も増えてきた。次世代ともいえる新たな9人のコレクターたちは、部屋に置けないような巨大な作品や、アーティストの考えや行動を作品化した作品など、所有することが難しいと感じるものもコレクションしている。
どうしてこの作品を購入したのか、どういう基準でこのアーティストを選ぶのか。そうした疑問に対して、今回の展覧会では、コレクションするためのヒントを見つけることができる。
S.M. collection (One Piece Club)
八木良太《VINYL》
2006
(C)YAGI Lyota
courtesy of MUJIN-TO Production
photo: FUKUNAGA Kazuo
9名の個人コレクター所蔵の貴重な作品に出会える見応えのある展示会場。