デザインインフォメーション

2013.04.22

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時のカリフォルニアのリビングを再現したような展示スペース。モダンな家具がカリフォルニア的なライフスタイルを育んだ。

 

 

チャールズ&レイ・イームズをはじめ

ミッド・センチュリー・モダンの巨匠たちの家具を間近に体験できる

 

今回の展覧会では、家具デザインだけでも、チャールズ&レイ・イームズをはじめとするモダン・デザインの巨匠たちによる作品の数々を間近に見ることができる。

 

あまり広くは知られていないデザイナーによる家具やインタビューも多く展示されているので、訪れる誰もが新たな発見をすることだろう。そして、それらが生み出された背景を学びながらじっくりと鑑賞できる内容となっている。

 

温暖な気候に恵まれたカリフォルニアでは、快適な屋外空間をリヴィングルームの延長として楽しむ、新たなライフスタイルの提案がされた。大きなガラス窓や吹抜けをもつような住宅と、そこに置かれる、耐候性・耐久性のある素材を使ってデザインした家具。これらによって、屋内と屋外をあまり区別しない開放的な生活が実現したのである。

 

また、家具の素材や加工技術には、軍事目的で開発されたものが積極的に使われた。成型合板を活用した、チャールズ&レイ・イームズの取り組みはそのひとつ。航空機産業の拠点となったカリフォルニアで、実験精神に富む新たなデザインの数々が花開いていった様子が丹念に紹介される。

 

一般大衆向けの量産品に採り入れられたカリフォルニア・デザインは、人口が劇的に増加したカリフォルニアだけでなく、一大ムーブメントとしてアメリカ全土の生活に影響を及ぼし、遠くは高度成長期の日本までにも行き届いた。そして、今でもその輝きを失っていないことには改めて驚かされる。

 

気楽で快適な生活をイメージさせる、おおらかでカジュアルな雰囲気。キャッチーでポップな色や形。モダンでありながら適度に有機的で、親しみの持てる素材。時や場所を越えるデザインに必要不可欠な要素が、展覧会全体を通じて浮き上がってくる。

 

そしてカリフォルニア・デザインが、映画や雑誌などのメディアとともに普及する様子、大量生産・消費社会への突入とデザイナーの反発、冷戦やベトナム戦争が続くなかでムーブメントが影響を受けていく過程を、来場者は知っていく。

 

本展覧会に合わせてつくられた、図版や考察が満載のカタログも必見だ。幅広く、また深くモダン・デザインを知るうえで、さまざまな年代の方に訪れてほしい展覧会である。

 

文・写真/加藤 純

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場ではイームズのデザインによるチェアに座りながら、インタビューなどの映像を見ることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カリフォルニア・モダン・デザインによる家具はアート作品を思わせるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白くて大きなラ・ガルド・タケットのガーデン・スカルプチャーが目立つ展示スペース。

 

 

 

 

 

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