デザインインフォメーション

2013.04.22

カリフォルニア・デザイン 1930-1965
─モダン・リヴィングの起源─
展覧会会場をレポート

ミッド・センチュリーと呼ばれたアメリカがもっとも豊かだった時代。カリフォルニアで生まれた家具や建築、ファッションなどのモダン・デザインをテーマとした大規模な展覧会「カリフォルニア・デザイン 1930-1965 ─モダン・リヴィングの起源─」が話題だ。機能的なデザインでありながらレトロフューチャーな雰囲気が漂うカリフォルニア・デザインの魅力を探るべく、この展覧会をレポートした。

 

 

作品を全体に見渡せる斬新な会場構成

カリフォルニア・デザインの開放感や空気感を汲みとれる

 

カリフォルニアで開花したモダン・デザインの全貌を、家具やファッション、陶芸、建築写真など、約250点の作品を通じて紹介する展覧会「カリフォルニア・デザイン 1930-1965 ─モダン・リヴィングの起源─」。概要は3月にすでに紹介しているが、今回は実際に展覧会を訪れての発見や見所を、家具デザインを中心に紹介していこう。

 

会場に入ってまず目に入るのは、銀色のアルミ・ボディが輝く「エアストリーム≪バンビ≫」。移動しながらどこでも暮らせるキャンピング・トレイラーは、カリフォルニア・モダンを象徴するデザインとして設置されている。

 

展覧会の概要を説明するイントロから見始めると、展示される壁の隅が切れているという不思議な仕掛けに気づくだろう。通常は角を合わせて明確に区切る23枚の間仕切り壁を、あえて隙間をあけて固定。展示は4つのテーマに分けられてはいるものの、他のテーマに置かれている作品やスペースが垣間見えるのである。

 

今回のようにテーマを分けて展示する内容では、異例のことといってよい。会場構成を手がけたのは、斬新な作品を発表し続ける若手建築家、中村竜治氏。「カリフォルニアのおおらかで開放的な空気感を表現することを考えた」という。一方で、床に設置された展示用の白い台は、一筆書きのようにずっと連続している。

 

この台に沿って足を進めていくと、一連の時代の流れとともに、さまざまな分野にわたって展開された「カリフォルニア・デザイン」の全貌を自然と意識させられるのである。展覧会の内容や雰囲気を汲みとって企画を強める、見事なデザインだ。なお、周りの壁には作品は陳列されず、壁に投影される映像をじっくりと見ることのできるコーナーがいくつか用意されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閉じていない間仕切り壁で構成された会場。全体を感じながら鑑賞できる斬新なデザインだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今でも高い人気を誇るイームズのストレージ・ユニット。ミッド・センチュリー・モダンを象徴する家具だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カリフォルニア・モダンらしいチェア。おおらかで開放的な雰囲気に満ちている。

 

 

 

 

 

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