デザインインフォメーション
《万華鏡IV》
ポリエステル、アルミニウム(スリットヤーン)
1992年
ダイナミックなインスタレーションによる空間演出で
新井淳一が表現する布の世界を体で感じとれる
ほの暗い会場に入ると、セクション1ではさまざまな布が水平に広がり、布1枚1枚に柔らかな光が当たっては消え、あたかも布が呼吸しているかのように見える。壁面の展示には、ISSEY MIYAKEとのコラボレーションによるパリコレクションや制作過程を映した映像のほか、布の原料になる鉱石や糸、道具なども展示。常に新しい布を生み出してきた新井淳一の先鋭的な発想を体験できる。
創生の原点に触れることから始まる展示構成だが、セクション2になると、生命のエネルギーを表現した空間が待ち受ける。ダイナミックなインスタレーションや空間に、浮かび上がるように埋め尽くされた色とりどりの布の森で、新井淳一の世界が展開されていく。
セクション3では、創作の背景を映像と音によるインスタレーションで表現。創作の源となっている伝統的な手技の世界が繰り広げられている。布作りにインスピレーションを与えてきたさまざまな民族の手仕事などが紹介され、布の記憶、手の記憶が伝わってくる。創作の根源を旅するような空間に、新井淳一の思想そのものを感じとることができる。
展示構成は、パリを拠点に活動する建築家ユニットDGT(ドレル・ゴットメ・田根/アーキテクツ)の田根剛が担当。斬新な映像と音による空間演出により、見るだけでなく、体で感じることができる構成も必見だ。
この機会に、テキスタイルの概念を覆し常に新しい布を生み出してきた、新井淳一の先鋭的な発想力と精神性に触れてみてはいかがだろうか。
新井淳一(あらいじゅんいち)
1932年、群馬県桐生市生まれ。織物業を営む家庭に育つ。1983年、第1回毎日ファッション大賞特別賞。2003年、「新井淳一 布展―透明と反射―」(高崎市美術館)。2005年、「新井淳一 進化する布」(群馬県立近代美術館)。2010年、「新井淳一の布―50年の軌跡」(清華大学美術学院)。2011年、英国王立芸術大学院(Royal College of Art)より名誉博士号。
パブリックコレクション:ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館(ロンドン)、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)他
新井淳一の布 伝統と創生
ARAI Junichi Tradition and Creation
会期:2013年1月12日(土)~ 3月24日[日]
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間:11:00-19:00(金・土は20:00まで/最終入場は閉館30分前まで)
休館日=月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、2月10日(日)(全館休館日)
入場料=一般1000円/大・高生800円/中・小生600円
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話:03-5353-0756