デザインインフォメーション
タピオ・ヴィルッカラ「ウルティマ・テューレ 2332/2052」
1968年 イッタラ社製
フィンランド国立ガラス美術館蔵
「生活の中に美」をもたらしながら進化し続け
近年はアート・ガラスとしての志向が強まる
第二次世界大戦後の1950年代、フィンランドのガラス製品は黄金期を迎える。カイ・フランクや、タピオ・ヴィルッカラなどのデザイナーが目覚ましい活躍を遂げる。ガラスの透明性を活かした上質な素材と、みずみずしい感性によるデザイン性で、フィンランドのガラス製品は国際的にも高く評価されていく。
その後20年間は、視覚的に美しく、生活に寄り添ったフィンランドのガラス製品はモダン・デザイン界を先導していく。しかし1970年代に入ると、製品化するデザインより、個人デザイナーとしての活動が目立ちはじめ、日用品としての美しさより、むしろアート・ガラスへの志向がうかがえるようになってくる。
たとえばオイヴァ・トイッカの鳥をモチーフにしたオブジェや、ティモ・サルパネヴァのアート的な表情をもつガラス器などが登場することで、フィンランドのガラス製品は転換期を迎える。時代ごとに変化をしているが、継続的に生産されるガラス製品とアート性の両側面をバランスよく保ち続けるということが、フィンランドのガラスの魅力にもなっている。
このようなフィンランドのガラス製品の歴史を18世紀後半から現在までを、150件の作品でたどった今回の企画展。変化の激しい現代社会で、一貫して「生活の中に美」をもたらしながら進化し続けているフィンランド・デザインの美しさに、あらためて触れてみてはいかがだろうか。
*作品撮影:ティモ・シルヤネン
アイモ・オッコリン「睡蓮」
(1960年、リーヒマキ社製)
フィンランド国立ガラス美術館蔵
タピオ・ヴィルッカラ「カンタレッリ(アンズタケ) 3280」
(1947年、イッタラ社製) 個人蔵
オイヴァ・トイッカ 「オアシス」
(1988年、ヌータヤルヴィ社製)
フィンランド国立ガラス美術館蔵
※掲載画像の無断転載を禁じます
森と湖の国 フィンランド・デザイン展
会場:サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア館3階
電話:03-3479-8600
会期:~2013年1月20日(日)開館時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)
※2012年12月23日(日・祝)、2013年1月13日(日)は20時まで開館
2012年12月28日(金)、29日(土)は年末のため18時で閉館
休館日:毎週火曜日、年末年始[12月30日(日) – 1月1日(火)]
入館料:一般1300円 、大学・高校生1000円、中学生以下無料