デザインインフォメーション
30年にわたるデザインの変遷
「Future Beauty 日本ファッションの未来性」
80年代をリードした日本人デザイナーたちを知ることで
日本ファッションの未来性が見えてくる
日本人ファッションデザイナーがパリ──世界にデビューして以来の、つまり森英恵以降のデザイナーたちの作品を展示するものだが、単純に時間軸に沿って彼らの服が並んでいるわけではない。
「陰翳礼賛」や「平面性」といった切り口で紹介されるそれらを観るとき、ファッションとは単に消費材としての衣類ではないということに気づかされるはずだ。
同時代に育った世代には往時を少々面映くも懐かしく振り返り、噂でしか聞いたことのなかった世代には、本物を目にすることのできる得難い機会であるこの展覧会。何と言ってもその目玉は「ぼろルック」と「こぶドレス」である。
「ぼろルック」はそのキーワードなら目にしたことのあるひとも多いのではないか。“東からの衝撃”などさまざまに報じられ物議を醸したそれは、川久保玲(コム・デ・ギャルソン)と山本耀司の2人により1980年代初めにパリコレクションで発表された。
穴が空いた(ようにあらかじめ加工された)り、ほつれて垂れ下がった(ようにあらかじめ意図して施された)りした、悪名高き黒い服たちのことである。
同展ではこれら“黒い衝撃”たちが陰翳礼賛のテーマのもと、両者のそれ以降の作品に加え、若手の作品もいくつか交えて展示されている。オリジナルの持つ圧倒的な力は、何も絵画や彫刻だけに当てはまるのではないことを思い知らされる。
川久保玲(コム・デ・ギャルソン)。1983年秋冬。
京都服飾文化研究財団所蔵、株式会社コム デ ギャルソン寄贈、林雅之撮影。
山本耀司 。1983年春夏。
京都服飾文化研究財団所蔵、小山壽美代氏寄贈、広川泰士撮影。