デザインインフォメーション
変動するデザイン領域の広がりを体感できる
「活動のデザイン展」開催中!
社会が抱える課題を読み解き
問題解決をうながすヒントに満ちた展覧会
一般的にデザインというと、アート的な視点で実用品に応用したり、商業デザインのように常に時代の象徴を創造し続けているようなイメージがある。
だがデザインの対象は、ファッション、印刷物、プロダクト、建築などに留まらない。都市生活や人間社会にもおよび、機能性、実現性、経済性、社会情勢など、人間の目的を実現することに関わるすべてが含まれている。
「活動のデザイン展」は、こうした多岐にわたるデザインの世界でも、商業的なものづくりに限定しないで、社会が抱える課題を読み解き、問題を解決する意志や活動そのものに目を向けたユニークな展覧会になっている。
20世紀後半からの情報革命以降、世界の距離は短くなるにつれて、日々の生活や意識は大きな変化の時を迎えている。知識や手法が高速で更新されていく一方、社会の不均衡や価値観を問い直す機会も増えてきている。
そうした時代の変化に、考え、行動し、伝えていくことではないかという問いから「活動のデザイン」は企画された。世界10ヵ国以上、24組のクリエーターによる多彩な活動が展示されている。
会場に入ってまず目に入るのは、「ペット・ランプ」だ。
日本の茶筅(ちゃせん)の構造から発想したというランプシェードだ。切り込みを入れたペットボトルを縦糸に、横糸には各国で手に入る素材を組み合わせ、その土地の伝統的な籠や手織りの技術・模様でつくられている。スペイン人デザイナー、アルヴァロ・カタラン・デ・オコンの作品だ。
階段をおりると大きな壁にはデジタル文字の表示が展示されている。よく見るとたくさんのアナログ時計が壁にかけられ、ある瞬間、それぞれ針が揃うと文字の形になる。この大がかりな作品は、スウェーデンのヒューマンズ シンス 1982による「ア・ミリオン・タイムズ」。
384個もの時計を配置し、プログラミングされた針が1分ごとに時刻を表示。規則的な動きの中で、言葉や数字を紡ぎだす計算つくされたデザインだ。
ギャラリー2の会場に行くと、ディスプレイされた数多くのカラフルなセーターの展示に目を見張る。「ロースさんのセーター」と名付けられ、DNAシャロアー&クリスティン・メンデルツマ/ヴァンスファッペンの作品だ。
81歳のオランダ人女性ロースさんが編み続けた500枚以上のセーターのうち60枚を展示するとともに、この取り組みのために作られた映像と書籍も合わせて展示されている。ロースさんの行いをたたえるべく、シャロアー地区から世界に発信していく。まさに活動するデザインといった印象を与えてくれる。