デザインインフォメーション

2014.12.01
「マイン・カフォン」/マスード・ハッサーニ 竹とプラスチックでできた新しい手法による地雷撤去装置。風に吹かれて地面を進み、地中の機雷を安全に爆発させる仕組み。Photo:吉村昌也

「マイン・カフォン」/マスード・ハッサーニ
竹とプラスチックでできた新しい手法による地雷撤去装置。風に吹かれて地面を進み、地中の機雷を安全に爆発させる仕組み。Photo:吉村昌也

 

「マイン・カフォン」。Photo: Rene van der Hulst

「マイン・カフォン」。

Photo: Rene van der Hulst

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「マイン・カフォン」を制作したマスード・ハッサーニ 。Photo: Jeroen van Ooirschot

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ものづくりという枠組みを超えて

今後の社会におけるデザインの役割に気づかされる

 

展覧会場で圧巻なのは、大きな球体の「マイン・カフォン」だ。

 

オランダ在住のアフガニスタン人デザイナーのマスード・ハッサーニの作品。この作品は地雷撤去ボールである。作家の幼少時代の体験をもとにつくられ、地雷撤去に対し、新しい手法を考えた。竹とプラスチックでできたこの装置は、風に吹かれて地面を進み、地中の機雷を安全に爆発させる仕組みだ。

 

現在も実用化に向けて開発を進めているという。まさに社会が抱える問題を解決しようとデザイナーが読み解き、新しい関係を築く提案ともいる。社会の不均衡や倫理を問い直す活動を、デザインで表現した作品といえるだろう。

 

食をテーマにしたものも作品となって展示されている。

 

ジョセフィン・ヴァリエの「リビング・アーカイヴ」だ。母国スウェーデンと日本からパンを焼くための天然酵母を集めて、その酵母にまつわる個々のストーリーや知識をアーカイブし、それを展示して共有することを試みたプロジェクト。

 

ビンに入った天然酵母が数多く並べられた展示は、ここはキッチンかと思わせるような光景だが、そこにはデザイナーの意図が込められた立派な作品になっている。ジョセフィン・ヴァリエは、人々、場所、オブジェクトを結びつける新たなプラットフォーム、体験、プロセスをデザインしており、いまは素材として食品を中心に取り上げているという。

 

最後に待ち受けているのは、とてつもなく長い望遠鏡だ。

 

タイトルは、まさに「長い望遠鏡」。大西麻貴+百田有希/o+hで、望遠鏡を使って視点を変える装置だ。会場内にあるほかの作品を、それぞれ肉眼で見るのとは異なった視点で観賞できる装置で、「見る」体験がより美しく、また特別なものに感じてほしいという。

 

視点の転換をもたらす試みの活動であり、新たな発見と驚きを与える作品だ。大西と百田は共に建築家。建築設計を中心にインスタレーションやまちづくりまでさまざまな活動に取り組んでいる。

 

これもデザインなのか? と思わせるような、ジャンルを超えた多くの作品を体感できる「活動のデザイン展」。

 

クリエーターたちの活動は、ものづくりという枠組みを超えて、今後の社会におけるデザインの役割に気づかされる。変動する世界におけるデザインの可能性を感じると同時に、デザインとは何かという原点をも感じとることができるはすだ。

 

2015年2月1日まで、東京・六本木の21_21DESIGN SIGHTで開催中。

 

「リビング・アーカイヴ」/ジョセフィン・ヴァリエ スウェーデンと日本からパンを焼くための天然酵母を集めて、その酵母にまつわる個々のストーリーや知識をアーカイブして展示。Photo:吉村昌也

「リビング・アーカイヴ」/ジョセフィン・ヴァリエ

スウェーデンと日本からパンを焼くための天然酵母を集めて、その酵母にまつわる個々のストーリーや知識をアーカイブして展示。Photo:吉村昌也

 

大西麻貴+ 百田有希 / o + hによる「望遠鏡のおばけ」の制作風景。

大西麻貴+ 百田有希 / o + hによる「望遠鏡のおばけ」の制作風景。

「ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律」/アルマ望遠鏡プロジェクト=国立天文台 + PARTY + Qosmo + エピファニーワークス Photo:吉村昌也

「ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律」/アルマ望遠鏡プロジェクト=国立天文台 + PARTY + Qosmo + エピファニーワークス Photo:吉村昌也

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロースさんのセーター」や「リビング・アーカイヴ」の作品が展示されているギャラリー2 会場風景。Photo:吉村昌也

「ロースさんのセーター」や「リビング・アーカイヴ」の作品が展示されているギャラリー2 会場風景。Photo:吉村昌也

 

「プロフェッショナル・シェアリング:シェアの達人」/牛込陽介 Photo:吉村昌也

「プロフェッショナル・シェアリング:シェアの達人」/牛込陽介 Photo:吉村昌也

「Shenu:百年後の水筒」/takram design engineering Photo:吉村昌也

「Shenu:百年後の水筒」/takram design engineering Photo:吉村昌也

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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21_21 DESIGN SIGHT企画展

活動のデザイン展

会期:2014年10月24日(金)~ 2015年2月1日(日)

会場:21_21 DESGIN SIGHT(東京ミッドタウン・ガーデン内)

開館時間:11:00-20:00(入場は19:30まで)

休館日:火曜日、(12月27日から1月3日)

入場料:一般1000円/大学生800円/中高生500円/小学生以下無料

*各種割引についてはウェブサイトを参照

住所:東京都港区赤坂9-7-6

電話:03-3475-2121

 http://www.2121designsight.jp

 

 

 

 

 

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