デザインインフォメーション
時間と空間と意識が交錯する
映像作家さわひらきの展覧会
非現実的だが既視感を覚える
白昼夢のような幻想的な世界
ドローイングと彫刻が並ぶ回廊を抜けると、グレーの壁に囲まれた広々とした空間に出た。
照明は落とされているが、巨大なスクリーンに流される映像の光でほの明るい。
投影されている映像に明確なストーリーはない。頭を空っぽにして映像の世界に没入すると、誰かの夢のなかに迷い込んでしまったような感覚に陥ってくる。
会場内の一部に流れる音は、心地よい旋律ではなく、かといって不協和音でもなく、しかし確実な存在感をもって映像の輪郭を際立たせていく。
さわひらきの作品には、非現実的なようでいてどこかリアリティを感じさせる不思議な世界観がある。
揺れながら行進していく木馬。
ほどけていくレコード。
家の中を飛び交う小さな飛行機。
クルクルと回り続ける歯車。
早回しの速度で移動していく月。
ありえないことなのに、どこかで見たことがあるような気がするのは、誰もが心のなかに持つ空想世界と重なるからなのだろうか。それとも、反復運動や上下左右への移動、回転といった映像内で刻まれるリズムが拍動や呼吸のリズムと近く、だんだん作品と融けあっていくような感覚になるからだろうか。
《Dwelling》
2002
Courtesy of the artist and Ota Fine Arts
《Souvenir》
2012
Courtesy of the artist and Ota Fine Arts
《Lenticular》
2013
Courtesy of the artist and Ota Fine Arts
《Aurora》
2013
Courtesy of the artist and Ota Fine Arts