デザインインフォメーション

2014.01.23

会場風景。さわひらきの映像の世界は、夢のなかに迷い込んでしまったような感覚に陥ってくる。

 

さわ ひらき: 1977年 石川県生まれ、ロンドン在住。 2000年、イースト・ロンドン大学美術科卒業。 2003年、 ロンドン大学スレード校美術学部彫刻科修士課程修了。

 

 

幻想的な作品群で問いかけるのは

制作者と鑑賞者にとっての「領域(テリトリー)」

 

さわひらきの、最初期の作品から一貫してとして見られる「領域(テリトリー)」への関心が、今回の展覧会のテーマになっている。

 

自と他、陰と陽、右と左、白と黒、虚と実、内と外、夢と現、過去と未来……。領域をわける基準は無限にあるが、区別がなければ領域はひとつだ。どこかにラインを引くことで、さわ自身にとって、そして鑑賞者にとっての領域が生まれる。

 

さわの作品は、どこかフワフワとしていてとらえどころがない。突き放されるわけではないが、歩み寄ってくるわけでもない。ガラス一枚を隔てたこちら側と向こう側という感じの距離感がある。

 

展示作品の多くは映像だ。目にした瞬間のインパクトで訴えかけるのではなく、時間軸のなかで作り手と見手の交流が図られる。

 

流れる映像とともに時間を過ごすうち、次第に境界があいまいになってきて、作品世界に惹き込まれてしまう。ときに映像の世界に入り込み、ときに自らのなかに映像の世界を取り込みながら、シンクロしたり反発したり、近づいたり離れたりしていく。

 

アイデンティティとはなにか。コミュニケーションとはなにか。さわひらきの問いに、あなたはどう応じるのだろうか。

 

(文・久保加緒里)

 

  

 

 

 

 

 

 

 

《Did I ?》

2011

Courtesy of the artist and Ota Fine Arts

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流れる映像とともに時間を過ごすうちに、作品世界へと惹き込まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

展示作品の多くが映像作品。映像を通して作り手と観賞者の交流が図られる。

 

 

会場写真:courtesy of the artist and Ota Fine Arts

 

 

さわひらき  Under the Box, Beyond the Bounds

会期:2014年1月18日(土)~ 3月30日(日)

会場:東京オペラシティ アートギャラリー

開館時間:11:00-19:00(金・土は20:00まで/最終入場は閉館30分前まで)

休館日=月曜日(祝日の場合は翌火曜日) 2月9日(日)全館休館日

入場料=一般1000円/大・高生800円/中・小生600円

住所:東京都新宿区西新宿3-20-2

電話:03-5770-8600

展覧会特設サイト: http://www.operacity.jp/ag/exh160/

 

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