デザインインフォメーション
中国の国家としての基礎を築いた始皇帝
秦王朝の成熟した文化を体感する
兵馬俑と並んで注目を集めているのは「銅車馬」だ。
始皇帝は、中国全土を統一したのち国内を隅々まで巡行したが、そのときの御用車と先導車を約2分の1のスケールで精密に再現した青銅製の馬車である。
2台合わせて約6000個にものぼるパーツは、しなやかに見える手綱や馬の顔の下にあるやわらかそうな飾りの房なども含め、すべて青銅製。御用車の内部の装飾も美しく、青銅器の発達した古代中国のなかでも最高峰の技術が集められていることが、素人目にもよくわかる。
今回来日した銅車馬は複製だが、複製も世界に2点ずつしかなく、揃って展示されるのは極めて珍しいという。細部まで精巧に写し取られていて、実物を見たことのある担当研究員によれば「まったく見分けがつかないほどの出来」だそうだ。
また、秦の文化を伝える品も多数展示されている。
玉や金の装飾品、象嵌が施された壺など栄華を極めた時代の贅沢品から、陶製のパーツを組み合わせた水道管、泥に印を押す書簡の封印など文化や暮らしの質の高さを知る品まで、秦王朝がいかに成熟した国家であったかが解る。
兵馬俑の発見から40年。東京国立博物館では、これまで中国文化の象徴として兵馬俑を一部展示したことはあったが、兵馬俑をメインとした企画展は今回がはじめてだ。
兵馬俑を四方から間近に見られる絶好の機会、ぜひ東京国立博物館に足を運んでみてほしい。
(文・久保加緒里/写真・川野結李歌)
始皇帝と大兵馬俑
会期:2015年10月27日(火)~2016年2月21日(日)
会場:東京国立博物館 平成館
開館時間:9:30-17:00(入館は閉館30分前まで)
*ただし、12月18日までの金曜日は20:00まで開館
休館日:月曜日 年末年始・12月24日(木)~2016年1月1日(金・祝)
*ただし、11月23日(月・祝)、1月11日(月・祝)は開館。
11月24日(火)、1月12日(火)は休館、
観覧料:一般1600円/大学生1200円/高校生900円/中学生以下無料 *各種割引についてはウェブサイトを参照
住所:東京都台東区上野公園13―9
お問合せ:03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:http://heibayou.jp/