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2015.11.16
1号銅車馬。4頭立ての馬車。大きさは実際の半分ほど。輿(こし)には車蓋(しゃがい)を立てている。

1号銅車馬。4頭立ての馬車。大きさは実際の半分ほど。輿(こし)には車蓋(しゃがい)を立てている。

 

2号銅車馬。輿(こし)のなかに座ることができ、窓は自在に開閉できる。1号、2号とも始皇帝陵の西側の坑から出土。御者はいるものの、主人の姿は見えない。始皇帝の霊魂を乗せて副葬したとする考えもある。

2号銅車馬。輿(こし)のなかに座ることができ、窓は自在に開閉できる。1号、2号とも始皇帝陵の西側の坑から出土。御者はいるものの、主人の姿は見えない。始皇帝の霊魂を乗せて副葬したとする考えもある。 作品は秦始皇帝陵博物院蔵

 

中国の国家としての基礎を築いた始皇帝

秦王朝の成熟した文化を体感する

 

兵馬俑と並んで注目を集めているのは「銅車馬」だ。

 

始皇帝は、中国全土を統一したのち国内を隅々まで巡行したが、そのときの御用車と先導車を約2分の1のスケールで精密に再現した青銅製の馬車である。

 

2台合わせて約6000個にものぼるパーツは、しなやかに見える手綱や馬の顔の下にあるやわらかそうな飾りの房なども含め、すべて青銅製。御用車の内部の装飾も美しく、青銅器の発達した古代中国のなかでも最高峰の技術が集められていることが、素人目にもよくわかる。

 

今回来日した銅車馬は複製だが、複製も世界に2点ずつしかなく、揃って展示されるのは極めて珍しいという。細部まで精巧に写し取られていて、実物を見たことのある担当研究員によれば「まったく見分けがつかないほどの出来」だそうだ。

 

また、秦の文化を伝える品も多数展示されている。

 

玉や金の装飾品、象嵌が施された壺など栄華を極めた時代の贅沢品から、陶製のパーツを組み合わせた水道管、泥に印を押す書簡の封印など文化や暮らしの質の高さを知る品まで、秦王朝がいかに成熟した国家であったかが解る。

 

兵馬俑の発見から40年。東京国立博物館では、これまで中国文化の象徴として兵馬俑を一部展示したことはあったが、兵馬俑をメインとした企画展は今回がはじめてだ。

 

兵馬俑を四方から間近に見られる絶好の機会、ぜひ東京国立博物館に足を運んでみてほしい。

 

(文・久保加緒里/写真・川野結李歌)

 

前5世紀から前4世紀前半の秦で流行した瓦当(がとう)。秦にとってめでたいとされる動物が描かれている。

前5世紀から前4世紀前半の秦で流行した瓦当(がとう)。秦にとってめでたいとされる動物が描かれている。
いずれも陜西省考古研究院蔵

 

左:弩弓(どきゅう)。木製の台の先端に横置きした弓を固定した武器。弓を発射すると弾丸のような威力を発揮。右:水鳥(みずどり)。銅製の水鳥は20体発見され、祭祀のために飼育された鳥を表現したともいわれる。

左:弩弓(どきゅう)。木製の台の先端に横置きした弓を固定した武器。弓を発射すると弾丸のような威力を発揮。右:水鳥(みずどり)。銅製の水鳥は20体発見され、祭祀のために飼育された鳥を表現したともいわれる。
作品は秦始皇帝陵博物院蔵

 

左:騎馬俑。始皇帝稜兵馬俑の約100年前に作られた小さな兵馬俑。右:玉胸(ぎょくむね)飾り。淡緑色の玉器59個と赤・黄色の貴石297個からなる胸飾り。秦の権威を象徴していた。

左:騎馬俑。始皇帝稜兵馬俑の約100年前に作られた小さな兵馬俑(咸陽市文物考古研究所蔵)。右:玉胸(ぎょくむね)飾り。淡緑色の玉器59個と赤・黄色の貴石297個からなる胸飾り。秦の権威を象徴していた(宝鶏市周原博物館蔵)。

 

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始皇帝と大兵馬俑

会期:2015年10月27日(火)~2016年2月21日(日)

会場:東京国立博物館 平成館

開館時間:9:30-17:00(入館は閉館30分前まで)

*ただし、12月18日までの金曜日は20:00まで開館

休館日:月曜日 年末年始・12月24日(木)~2016年1月1日(金・祝)

*ただし、11月23日(月・祝)、1月11日(月・祝)は開館。

11月24日(火)、1月12日(火)は休館、

観覧料:一般1600円/大学生1200円/高校生900円/中学生以下無料 *各種割引についてはウェブサイトを参照

住所:東京都台東区上野公園13―9

お問合せ:03-5777-8600 (ハローダイヤル)

展覧会公式サイト:http://heibayou.jp/

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