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「坂口恭平 新政府展」が開催中
「新政府」設立を原点にして
内閣総理大臣・坂口恭平が提案するユニークな建築の在り方
人間にとって建築とは何か? そんな永遠のテーマを建築家・坂口恭平さんは、建築と人間の暮らし方を原点にして問い直すことからスタートしている。豪華な大きな家ではなく、人間が暮らす最小スペースとしての家を考えながら、電力エネルギーに頼らないエコ住宅の在り方をも提案している。
坂口さんが「新政府」樹立を思い立ったのは、3・11大震災であった。原発事故でヨウ素とセシウムが検出されたにもかかわらず、それを国民に告げない日本政府は機能していないと考えた。震災2ヶ月後の2011年5月10日、新しい政府を設立して自ら初代内閣総理大臣に就任する。
まずは故郷の熊本に築80年の一戸建てのある200平米の土地を3万円で借りて、首相官邸を設置。「ゼロセンター」という避難所にする。1ヵ月足らずで100人以上が来訪、その年の夏には福島からの子ども50人を3週間、サマーキャンプとして滞在している。
この「新政府」の設立を原点にしながら、展覧会では、初公開となる多彩なオリジナル作品や、新しく制作した作品を展示している。会場には実際の建物やアート作品が数多く展示され、壁には直筆のメッセージまで書かれ、さながら坂口さんのアトリエを訪れたような印象を受ける。
展覧会は過去編と未来編の2部構成による展示。これまでに描いたドローイングや写真を展示した過去編に加えて、現在は、「新政府」の構想や活動、都市計画などの新たな作品を加えた未来編が開催されている。展示は毎日、変化しており、そのプロセスも含めて公開されている。
人間にとって建築とは何か? を考える直す意味でも、一度足を運んでみてはいかがだろうか。建築家・坂口恭平さんが「新政府」を通して提唱する、建築の原点に出会えることができるはずだ。
坂口自邸 2009 年
不動産は不要だとの考えのもと、移動できる「モバイルハウス」。
4D GARDEN HOUSE 2012 年
屋上を緑化してエコにも貢献。最小限スペースとしての家を提案している。