デザインインフォメーション
東京をデザインで旅する本
『d design travel 東京』発刊
その土地ならではのロングライフデザインだけを紹介
使う人とつくり手が交流する機会も創出する
『d design travel』がユニークなのは、それぞれの土地に根ざした息の長いデザイン=ロングライフデザインに関してのみ厳選して取り上げるというこだわりの思想だ。誌面には、ナガオカケンメイ編集長と編集部のスタッフが実際に足を運んで確かめたトピックだけを掲載する。
編集部では、選定の基準を明確にしている。「その土地らしいこと」、「その土地の大切なメッセージを伝えていること」、「デザインの工夫があること」など、どの都道府県を取り上げるときでも、その定義に沿って掲載対象を選び、観光、レストラン、ショップ、カフェ、宿泊施設、人の6つのカテゴリーでそれぞれ4つのスポットを紹介していく。
9月1日に発売された東京号では、約180ヵ所のデザイントラベル情報を選び抜き、本音で紹介している。東京スカイツリーや近年オープンした人気レストランなどには見向きもせず、デザイン目線で東京のロングライフデザインを追っている。
たとえばカテゴリー別の内容としては、観光では日本民藝館、レストランでは資生堂パーラー、ショップではデザインコレクション、カフェではバワリーキッチン、宿泊施設では山の上ホテル、人(地域のキーパーソン)では山田節子さんなどを取り上げ、まさに東京らしい文化を感じさせるラインナップになっている。
正直なところ、ガイドブックらしくないガイドブックかもしれない。しかし、情報をただ羅列するだけでなく、選者の意識と意思がはっきりと表現されている。
「必ず自費で利用する」、「感動しないものは取り上げない」、「問題があっても、素晴らしければ、問題を指摘しながら薦める」といった共通認識のもとで集められた場所やモノや人は、読む者に活き活きとその魅力を訴えかけてくる。
デザインという観点で東京を案内するガイドブック『d design travel 東京』。旅行で東京を訪れる人にとっても、東京で暮らす人にとっても、本物志向の新しい発見が詰まった一冊ではないだろうか。
なお、この『d design travel 東京』の発刊と連動して、『d design travel TOKYO -47の東京展-』を、渋谷ヒカリエ8階の「d47 MUSEUM(ディヨンナナミュージアム)」で開催している。誌面で紹介している東京を代表する息の長いデザインを展示しているので、東京の今を実際に体験することができるはずだ。
『d design travel⑧ 東京』の誌面から