デザインインフォメーション
インテリアライフスタイル展の石巻工房ブース。メディア賞を受賞した(デザイン: 長岡勉)
Photo:Takumi Ota
石巻や東北の人々と協働しながらの
商品開発と製作プロジェクト
現在、石巻工房には「工房長」の千葉隆博さんが常駐している。寿司職人だった千葉さんは自分の店が被災した後、趣味のDIYスキルを石巻工房で存分に発揮。今では木工系の商品を製作し発送する役割の中核を担っている。
木工系の商品販売はベンチやスツールからスタートしたが、ラインナップは随時拡充中。デザイナーは千葉さんとデザイン性と製作のしやすさなどをやりとりして、商品の開発をしている。
石巻工房代表の芦沢さんは「“被災地の”という冠がなくても、魅力的な商品になるように心がけています。この点で、“デザイン”という無形の資産が果たす役割はとても大きなものです」と語る。
また、手芸・ハンドメイド系の商品も着々と開発され、販売されている。これらも被災地での雇用を目的として、地元住民とともにワークショップを行ってプロトタイプをつくり、改良を加えてきたものだ。手芸系商品は今年3月11日の発売開始以来、合計約900個が売れている。
現在ラインナップされているバッグやポーチの縫製を担当するのは、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の「ミシンでお仕事プロジェクト」の南三陸に住む「南三陸ミシン工房」の方々。講習会を重ねてミシン縫製の腕を磨き、製作に励んでいる。
今年の6月初め、石巻工房は東京国際家具見本市の「インテリアライフスタイル展」に出展し、今後ラインナップ予定の商品を含めて広く披露。石巻にデザインを通じて継続的な産業を根付かせようというコンセプトと活動に共感が集まった結果、同展アワードのメディア部門を受賞した。
今年は「川開き」祭りに合わせて、石巻工房は7月28日と29日に「石巻デザインウィークエンド」を開催する。賛同するデザイナーと共に、バラエティ豊かなワークショップを開く予定だ。
石巻工房のこれからの動きとプロダクトに、ますます目が離せない。
(文/加藤 純)
石巻工房長として木工の商品を製作する千葉さん。商品の開発にも関わっている。
テキスタイルデザイナーのNUNO 須藤玲子さんによるポーチづくりのワークショップ。
手芸系の商品は、南三陸ミシン工房の方々と講習会を繰り返し、生産体制に入っている。
フィンランドのテキスタイルデザイナー、エリナ・ヘレニウスさんによるワークショップ。