デザインインフォメーション

2012.06.14

東京ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTで開催中の『テマヒマ展〈東北の食と住〉』の会場風景。

 

 

東北の「食と住」にまつわる品々から

これからのデザインのヒントを探る

 

都会のモノづくりは、利便性の高さ、生産性の高さを念頭に置かざるを得ないが、東北のモノづくりには「たくさんつくって、たくさん売る」という発想がない。モノづくりのプロである佐藤さんも深澤さんも、そのことに衝撃を受けたという。

 

「今、残っている素晴らしい手仕事を褒めたたえることは容易いが、どうしてこの地域に残ってきたのかを掘り下げ、そしてその精神をなんとか未来に残していく方法を探らなければならない時がきている。」(佐藤卓さん)

 

「粘り強く淡々と繰り返される一見単純そうに見える作業が、穏やかで豊かな生活の循環を生み出している。『テマヒマ展〈東北の食と住〉』にその空気を持ち込めるだろうか。急ぎすぎて混迷する現代を救う啓示に満ちた生活の美を持ち込めるだろうか。」(深澤直人さん)

 

会場のグラフィックデザインは佐藤さんが、空間構成は深澤さんが手がけた。曲げわっぱ、竹細工、りんご剪定鋏、麩、凍みイモ、いぶりがっこなど、テマヒマかけた東北の「食と住」にまつわる55の品々を展示。

 

映像、写真、実物などさまざまなアプローチで、東北のものづくり厳しい自然のなかで生まれた文化や精神を背景に受け継がれてきたものづくりを紹介し、これからのデザインに生かすべき知恵や工夫を探っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラフィックデザイナーの佐藤卓さん。宮城県石橋屋(駄菓子)にて。Photo: Masako Nagano

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロダクトデザイナーの深澤直人さん。青森県、青森資材(りんご箱)にて。Photo: Masako Nagano

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会場に展示された無数のりんご箱。造形的にも美しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岩手県に伝わる救荒食物の凍みイモ。九戸郡野田村の川畑りえさんが、昔食べた味が忘れられずの凍みイモづくりを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東北地方各地に伝わる素朴な風味の駄菓子を一堂に展示。ビジュアルも美しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

江戸時代以降、東北地方で独特の製法や形が育まれた麩(ふ)。

 

 

 

 

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