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2013.12.19

「ソラポ」シリーズより

2009年から13年に撮影された空と大地の間を散歩する者たちのシリーズ。彼らはまるで大地のエッジを歩いているようにみえる。向こう側へ落ちてしまいそうな危うさと、天使の軽やかさを同時に感じさせる。

 

「 天と地のあいだをぼくらは歩いている。なんでもないあたりまえの劇的なこと。」(齋藤陽道)

 

 

二次元の写真から聴こえてくる

鮮やかな「音」の世界

 

写真展のなかでいちばん印象的だったのは、3階の「無音楽団」シリーズと「MY NAME IS MINE」シリーズだ。

 

「無音楽団」は、さまざまな「音」の瞬間を表現したシリーズ。「MY NAME IS MINE」は、聴覚に障害を持つ人たちが手話で自身の名前を伝えている様子を長時間露光で撮影している。

 

写真から音が聴こえてくるような仕掛けがあるわけではない。しかし、1枚1枚の写真から、楽器の音であったり、雨や風の音であったり、雑踏のノイズであったり、はっきりと音の質感が伝わってくる。空気の振動さえ、伝わってくるような気がする。

 

齋藤は「無音楽団」シリーズにこんな言葉を寄せている。「音楽は永遠の片想い。さびしいけどずっと想っていられる」。

 

齋藤自身、聴覚に障害を持っているという。音のない世界にいる彼は、だからこそ常に音を感じ、音を見ているのかもしれない。

 

普段、日常的に「音」を聴いている身にとって、目で見る「音」は鮮烈だった。活き活きと旋律を奏でる写真の世界に惹きこまれる、不思議な感覚。作品と脳内に響く音のコラボレーションを楽しむのもおもしろい。

 

(文・久保加緒里)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「感動」シリーズより

2008 年から11 年までに撮られた齋藤陽道のベースとなる写真シリーズ。2010 年に優秀賞を受賞した写真新世紀では「同類」というタイトルがつけられていたが、3.11 以降、さらに普遍的な” 生きる” という原点にたちかえって撮影され加えられている。

 

 

デビュー作の「タイヤ」(2009 年、写真新世紀・佳作)は衝撃的でした。

「せかい」を受けとめ、投げ返すパワーが、それ以後どんどんついている

ように思います。展覧会がとても楽しみです。

――飯沢耕太郎 ( 写真評論家)

 

 

齋藤陽道 (さいとうはるみち)

1983年 東京生まれ。都立石神井ろう学校卒業

2007年 陽ノ道として障害者プロレス団体「ドッグレッグス」所属

2009年 「タイヤ」写真新世紀 佳作賞 飯沢耕太郎選

2010年 「同類」 写真新世紀 優秀賞 佐内正史選

写真新世紀 展示(東京写真美術館)

2011年 写真新世紀 展示(大阪アートコートギャラリー)

「絶対」展示(エイブルアートギャラリー)

写真集「感動」(赤々舎) 写真展「感動」(赤々舎ギャラリー)

2012年 写真展「感動」(浅草浪花家、ギャラリーアセンス美術、ビジュアルアーツギャラリー)

2013 年 写真展「せかいさがし」(青山ゼロセンター)

写真展写真展「それでもそれでもそれでも」(浅草浪花家)

 

 

 

宝箱 ― 齋藤陽道 写真展

会期:2013年11月 30日[土]~ 2014年3月16日[日]

会場:ワタリウム美術館

住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6

電話:03-3402-3001

休館日:月曜日 [休館日:月曜日 [12/ 23,30と1/13は開館] 12/31~ 1/3は休館

開館時間:11時より19時まで[毎週水曜日は21時まで延長]

入館料:大人1,000円 / 学生[25歳以下] 800円

ペア券:大人2人 1,600円 / 学生2人 1,200円

会期中何度でも入場できるパスポート制チケット

http://www.watarium.co.jp

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