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2013.08.08

スイス現代建築界に特異な存在を放つ
クリスチャン・ケレツの日本初の個展

独自の空間を創出するスイスの現代建築家、クリスチャン・ケレツ。日本初の個展となる「クリスチャン・ケレツ展  The Rule of the Game」が開催中だ。シンプルで力強い構造要素を効果的に用いた大型プロジェクトの作品は見応え充分。この機会にクリスチャン・ケレツの建築空間に触れてみたい。

 

 

特徴的な大型の木製模型に込められた

クリスチャン・ケレツの想いと斬新さ

 

スイスの現代建築家には、この20年近く熱い視線が注がれてきた。ピーター・ズントー、ヘルツォーク&ド・ムーロン、ギゴン&ゴヤーなどによる、現象や素材への強い関心と建築物に現れる表現。

 

それは、現代建築の行き着く先であろう透明性や合理性の追求、ミニマルな志向とは一線を画するものとして新鮮に映っていた。実際に目にする建築物も、端正でありながらどこかザラツキのようなものを感じ、心に強く残るものである。

 

現在、スイス現代建築界の中で特異な存在感を放つ“異才の建築家”、「クリスチャン・ケレツ展 The Rule of the Game」が、東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間で開催されている。

 

「ルール」を改めて前面に掲げていることに、この展覧会の意義がある。この「ルール」の意味するところと、そこから立ち現れる建築物の姿はどんなものかということを念頭に置きながら、会場を回っていこう。

 

今回の展覧会では、近年取り組んだ5つの設計競技案が展示されている。3階の第1会場では、大きな木製の模型が目を引く。これらは「ホルシム研究開発センター」と「スイス・リー・ネクスト」の模型で、木材は構造以外に階段の動線などを表しているという。

 

そばに映しだされているのは、ここには展示されていない別の大きな模型の内部を映した動画。「ワルシャワ近代美術館」は小さ目の白模型だが、克明に室内がつくり込まれた模型の動画が横に映されるという構成は同じである。

 

4階の第2会場では、「パライゾポリスの公営住宅」の床に広がる模型と、「鄭州の高層ビル 第1・2案」の縦に延びる模型が展示される。上階では綺麗で繊細な模型やCG映像が用意された。中庭での展示がなかったのは、いつも展示が盛り沢山なTOTOギャラリー・間としては少し寂しいところ。

 

さて特に3階の模型は、どこか目新しいと感じるものだ。というのも、これらの模型は、事務所内で検討するためでもクライアントにプレゼンテーションするためでもなさそうだから。綺麗すぎず、どちらかといえば少し無骨な印象を受ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロイチェンバッハの学校」(2009年/スイス、チューリヒ)

(C)Walter Mair

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鄭州の高層ビル 第2案」CG(2012-2013年/中国)

(C)Yu Yan

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鄭州の高層ビル 第2案」模型(2012-2013年/中国)

(C)Milan Rohrer

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