行ってみたいデザイン空間
隈研吾氏が内装環境をデザイン
東京・丸の内にKITTEがオープン!
東京・丸の内に、また新名所が誕生した。長い間、親しまれた旧東京中央郵便局の一部を保存、再生して建設された、日本郵便初の大型商業施設KITTE(キッテ)がJPタワー内にオープン。ファッション雑貨や飲食など98店のほか、東京駅を望める屋上庭園「KITTEガーデン」や隣接する博物館など、見どころが満載。デザインを手がけた隈研吾氏らしい美意識を感じるデザイン空間だ。
丸の内にスタイリッシュな空間が誕生
新旧の対比と融合が生む新たな価値観に注目
JR東京駅前の旧東京中央郵便局敷地を再開発した「JPタワー」内の商業施設「KITTE(キッテ)」が3月21日、オープンした。ビルの地下1階から地上6階までの施設には、「Feel JAPAN」をテーマに、全国各地の郷土料理の名店を中心にしたレストラン27店と、ファッションや雑貨を扱う71店舗が入る。
動物の骨格標本やエジプトのミイラなど東京大学所蔵物を展示する博物館「インターメディアテク」や観光・ビジネス情報センター「東京シティアイ」、国際会議等を含む多様なニーズに対応できる「JPタワーホール&カンファレンス」も併設する。味覚どころは他の媒体に譲るとして、ここでは建物自体や内装デザインの特徴を紹介していこう。
東京中央郵便局の旧局舎が竣工したのは、今から遡ること80年余り前の1931年。英国ヴィクトリア朝の様式を取り込んで建てられた東京駅丸の内駅舎を目の前に、白亜でシンプルな線をもつ優美な建物が誕生した。
設計したのは、モダニズムを日本に最初に紹介した逓信省技師の吉田鐵郎氏。外観は垂直方向の柱と水平方向の梁、各階の大きなガラス面が連続する。当時は珍しかったという真っ白いタイル壁の建築は、駅前広場からもよく目立つものであった。
今回、地上38階のガラス張りの高層ビルと低層棟を合わせ持つJPタワーとして生まれ変わるにあたり、低層棟外装のタイルはオリジナルのものを極力再利用。窓ガラスや窓枠も当初に近いものが使用されている。遠くから見ると、高層棟の青々としたガラスと白いタイルの対比が鮮烈に感じられるだろう。
そして、中に入るとさらに新旧の対比に驚くことになる。保存・再生した部分に囲まれた中央には、ガラス天井のアトリウムが現れる。5層分の大きな吹抜けは、天井から入る光に満たされ、各階の通路が回廊のように取り巻く、荘厳な雰囲気。床に所々あしらわれた八角形のモチーフは、当初あった柱の形をかたどったもの。天井からも柱型にボールチェーンが吊られて、当初の姿を連想させるものとなっている。
丸の内の新たなランドマークを感じさせるJPタワーとKITTE。
東京中央郵便局の旧局舎の一部を保存。高層部分との新旧の対比が印象的だ。
KITTE1階の5層分の大きな吹き抜けのアトリウム。床の所々にはかつての八角形の柱がモチーフとしてあしらわれ、内部空間にも新旧の対比を感じる。
東京中央郵便局創建時の外観。1931年に完成し、白亜の外観とシンプルな線が特徴の優美なモダニズム建築(吉田鐵郎氏の設計)