憧れの空間をデザインする夏水組のインテリアコーディネート

行ってみたいデザイン空間

2015.07.27

憧れの空間をデザインする
夏水組のインテリアコーディネート

リノベーションを中心にインテリアデザインを手がける夏水組（なつみくみ）。セルフリフォームのためのDIYショップも展開し、「自分の大切な想い」かなえて、憧れの空間をデザインしてくれることから女性からの人気も高い。女性が中心となって住まいを心地よく変化させる夏水組。そのコンセプトを代表の坂田夏水さんにお話しをうかがった。

夏水組を率いる坂田夏水さん。ご自身が手がけるDIYショップ、ゴングリ（GONGRI）で。

女性ならではの細やかな

視点から生まれた空間デザイン

近年、DIYを楽しむ女性が増えている。そんな中、注目を集めているのが東京・西荻窪にある空間デザイン会社、夏水組だ。

女性が中心となって内装デザインやインテリアコーディネートを提案している。その業務は内装デザインにとどまらず、コンサルティングや店舗のブランディング、商品開発、DIYショップ、ゴングリ（GONGRI）のプロデュースまで幅広い。

「もっと素敵な部屋にしたい」と考えている方に対して、古きよきものを大切にして、豊かな時間を過ごすことができる内装、インテリア、家具などを提案している。

インテリアデザインのコンセプトは、「大切なことへの想い」。大切な想いの断片を生活シーンで具体化するために、さまざまなシーンを創りだしている。

パリのアパルトマンのような女性に人気の「フレンチスタイル」、ダーク系の色調インテリアの「アンティークスタイル」、お洒落カフェのリビングのある人気の「カフェスタイル」、可愛く明るい雰囲気で女性に人気の「ガーリースタイル」など、住む人の夢を実現してくれるのが夏水組のコーディネートなのだ。

夏水組が手がけた「カフェスタイル」のデザイン。お洒落なカフェのあるリビングが人気だ。

女性に人気のパリのアパルトマンのような「フレンチスタイル」（左）。ダーク系の色調インテリアの「アンティークスタイル」（右）。

「私が感じた疑問やアイデアを形にできないかと思ってつくったのが夏水組です」と坂田夏水さん。

自分好みの部屋に住みたい

その要望に応えるのが夏水組

代表を務める坂田夏水さんに、夏水組についてうかがった。

――『夏水組』を立ち上げたきっかけを教えてください

美大の建築学科を卒業後、工務店に就職して現場監督をしていたのですが、長年、男性社会だった建築業界は女性にとって働きやすい環境とはいえませんでした。徐々に建設業界でも働く女性が増えていますが、まだまだといった感じです。

男女同等に仕事を行うのは難しい面もありますが、内装業などは女性が進出しやすい分野。そこで、私が感じた疑問やアイデアを形にできないかと思ったのが会社を作ったきっかけです。

――どんな依頼が多いですか

数ある空間デザイン会社の中で、夏水組を選んで頂いた時点で、お客様の中にはある一定のイメージが出来上がっているんですよね。たとえば、〝映画『アメリ』の寝室を作ってください〟という依頼はこれまで何件もあったんですが、それぞれのお客様でこだわる点や行き着くところが違うんです。

うちであれば、そのこだわりを形にしてくれると思って来てくださっている。ニッチなイメージが夏水組にはあるかもしれませんが、“夏水組流”を持っていないのが“流”。お客様ひとりひとりの要望に応えるのが『夏水組』です。

ウィリアム・モリスといった輸入クロスも豊富に取り揃えている。

女性でもできるDIYの工具も揃っている。塗りやすい水性ペイントなどの塗料も豊富。

「最近はご自身で壁の塗り替えや張り替えをする方も増えています」と坂田さん。

気軽に部屋のイメージを変えられる

DIYショップ、ゴングリ（GONGRI）

――これまで手がけた物件の中で印象に残っているものは

一部屋からマンション一棟まで、さまざまなバリエーションがありますが、大塚のロイヤルアネックスは、オーダーメイド賃貸として話題となった物件です。空き室が出るとリフォームをするといった形を取り、当時30％あった空き室を埋め、稼働率も上がり、今では満室をキープしています。

また品川プリンス・レジデンスは、ホテルライクな生活に自分好みのインテリアを取り入れる新たな試みだったと思います。

――DIYショップ、ゴングリ（GONGRI）では、どんな商品を扱っていますか

今はいろんなものがインターネットで買える時代。ここ5年くらいで市場がガラッと変わりました。気軽にお部屋のイメージを変えられる、動物モチーフのフックや花形のノブなどのインテリア小物や、夏水組オリジナルのマスキングテープやタイル。DIYともつながりのあるハンドメイド素材や手芸アイテムも取り扱っています。

塗りやすい水性ペイントなどの塗料やリバティ、ウィリアム・モリスといった輸入クロスも豊富に取り揃えており、最近はご自身で壁の塗り替えや張り替えをする方も増えています。日本のインテリア事情も成熟し、次のステージへ向かっている感じがします。賃貸や分譲と問わず、お気に入りのインテリアに囲まれて、より豊かな時間を過ごしていただき

たいですね。

女性ならではの視点で、業界に新たな風を吹き込んでいる夏水組。

「DIYとは相反するところもありますが、職人の技術の継承や若手の育成など、建築業界全体の底上げをしていきたい」とも語っていた坂田さん。

夏水組のこだわりのある空間創りへの挑戦はこれからも続く。

（文・石塚真由美　写真・川野結李歌）