デザインインフォメーション
今年も「アートフェア東京」がやってきた!
世界のアートに出会える、日本最大の見本市

アートの潮流を知る日本最大の見本市「アートフェア東京」が開催されている。11回目となる今年は、5月12日(木)から5月14日(土)の3日間にわたって幅広いジャンルのアート作品を展示、販売。世界から157のギャラリーが参加し、古美術から現代アートまで、間近に自分のお気に入りのアート作品に出会うことができる。

過去最多の157のギャラリーが参加。日本最大の見本市だけに多くの来場者でにぎわう。

オープニングセレモニーには内閣総理大臣夫人・安倍昭恵さんが列席。列席者全員による恒例の鏡開き(右)。
国内外から過去最多となる157のギャラリーが参加
古美術から現代美術まで多彩なアートが揃う
「アートフェア東京」の愉しみは、多彩なアートに触れられること、そして展示されている作品をただ鑑賞するだけでなく購入して自分のコレクションにできること。
今年は国内各都市から138の、北京やソウル、香港、台北などアジア各都市を中心に国外から19のギャラリーが出展を果たした。
展示されている作品は、絵画、彫刻、版画、写真、工芸、インスタレーションなど多彩。
縄文時代や室町時代、江戸時代などの古美術から、近代美術、コンテンポラリーアートまで扱う時代もじつに幅広く、好奇心と美的欲求を大いに満たし、刺激を与えてくれる。

「暦のトルソ-二月-」(棚田康治)。ミヅマアートギャラリーからの出品作。

台湾のRich Artから出品された蔡尉成(TSAI WEI-GHENG)の「自-由-之-路」。

名古屋の藤アートから出品された河野甲のアート作品。

アートフェア東京実行委員会の理事で「東京画廊+BTAP」の山本豊津氏。シムラブロスの鏡とガラスの作品の前で。
アートフェア東京実行委員会の理事でもある「東京画廊+BTAP」の山本豊津氏が語る。
「最近、若い女性コレクターが少しずつ増えてきています。以前はブランドのバッグや服など“みんなが持っているものを持つ”ことが好まれましたが、いまは“他人と同じ”を目指すのではなく個性を表す一環としてアートを所有するようになってきた。アートはアーティストの表現であると同時に、コレクターの表現でもあるんです」
しかも、現代アートと古美術、絵画と立体作品など、組み合わせの妙を楽しむ人も増えているのだとか。日本のアートを取り巻く環境に、大きな変革期が訪れているのかもしれない。
どんなインテリアの住まいに飾るのか。どんなコレクションと合わせるのか。あれこれ想像をふくらませながらギャラリーホッピングをしてみてほしい。

海外でも高く評価されている作家のひとり、野口哲哉はギャラリー玉英で新作「Human Silhouette」シリーズを発表。ブースには外国人の姿も多く見られた。

写真かと見紛うほど精緻に風景を写し取った藤井誠の油彩画。5年ほど前から「日本の写実」をテーマに作品を制作している。「表現の模索をするなかでたどり着いたのが、日本の自然を西洋の技法で写実的に描くことだった」と藤井氏。埼玉画廊。

CREATIVE SPACE HAYASHIから出展した兼子真一は、「関係」をテーマに春画の手足をモチーフとした立体作品を制作。顔料を混ぜたセメントに着色し、玉眼の技法なども取り入れて繊細なディテールを構成する。
100万円未満で購入できるアート作品に注目
法人税法改正に伴う特別展示『100KIN』
ギャラリーの出展と合わせて「アートフェア東京」を盛り上げているのが特別展示だ。
2011年から続いている「アーティスティック・プラクティス」は、今年は『Face Up!』(こっちを見て!)というタイトルで主に人物を表現した13作品を展示している。
インターネットやSNSの普及によって物理的および時間的に目の前にない「情報」にたやすくアクセスできるようになった時代だからこそ、目の前にある「もの」をよく見ることが大切。写実的であったり、抽象的であったり、素材も表現方法も異なる作品をじっと見つめてみてほしい。

モリモト協賛による若手作家の作品を中心に、100万円未満で購入できるアートを集めた特別展示「100KIN」。この作品は山田勇魚の「起源」。サンゴなどの自然素材でできている。

展示された32作品はすべて100万円未満で購入できるのが見どころ。

法人税法の改正で100万円未満の美術品が減価償却の対象となったが、日本のアート界にセンセーションを巻き起こすことも考えられる。
また今年は、18のギャラリーが参加した『100KIN』が注目を集めた。
2015年1月1日に減価償却資産に関する法人税法が改正され、20万円未満の「書画・骨董」から100万円未満の「美術品」に対象が大幅に拡大したことを受けた企画で、モリモトが協賛。
展示された32作品はすべて100万円未満で購入できるのが見どころ。1作品を除きすべて現存するアーティストの手によるものだ。
「日本の文化芸術が発展していくうえで、法人税法が改正された意義は大きい。アート市場が活性化することは若手アーティストを育てることにつながります。ぜひ、ひとりでも多くの方に100KINを見ていただきたいですね」(山本豊津氏)
外国人のコレクターも多数訪れていて会場は活気に溢れている。10周年の記念イヤーだった昨年は過去最高5万5000人の来場者でにぎわったが、今年はさらに上回る入場者数を記録しそうだ。
年に1回開催される、アートシーンの躍動が肌で感じられる貴重な機会ともいえる「アートフェア東京」。ぜひとも足を運んでいただきたい。14日(土)まで開催中。
(文・久保加緒里、写真・川野結李歌)

「いつの時代にも、どんなジャンルにも、芸術的実績がある」をコンセプトに2011年から開催されている特別展示「アーティスティック・プラクティス」。今年は、主に人をテーマとした作品を厳選した『Face Up!』が企画された。作品はイムラアートギャラリーから出品された「無人都市計画」(日野田嵩)。

蔵丘洞画廊ブースに並ぶ服部しほりの新作。確かな筆致で力強く描かれた日本画は、どこか現代的でコミカルな雰囲気も漂う。

ガラスや陶磁器、漆器などを扱うギャラリーも多数揃った。ギャラリーこちゅうきょからは松山巌のコアガラス展を出品。
アートフェア東京2016
会期:5月12日(木)~5月14日(土)
会場:東京国際フォーラム 地下2階 展示ホールEおよびロビーギャラリー
時間:5月12日(木)14:00~21:00、 5月13日(金)12:00~21:00、
5月14日(土)10:30~17:00
料金:1-DAYパスポート2500円(税込)
※1-DAY パスポートで一般会期中の1日に限り自由に入退場ができます
住所:東京都千代田区丸の内3-5-1
電話:03-5797-7912(一般社団法人アート東京)