デザインインフォメーション
創造力の軌跡をさまざまな視点から迫る
「ポール・スミス展」
イギリスのデザイナー、ポール・スミスの展覧会「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」が、現在、上野の森美術館(東京・上野)で開催されています。京都での開催終了後、2回目となる、ポール・スミスの世界観を肌で感じることができる大展覧会。約2800点の展示品が、多彩な創造力の軌跡に迫っています。
ファッションだけではなく
写真からコラボアイテムまで多角的に楽しめる
イギリスを代表するデザイナーのひとり、ポール・スミス。
人気のストライプ柄のプリント、シンプルなアクセサリーや小物、洗練されながらもどこかユニークさを忘れないポール・スミスのコレクションは、世界中で高く評価されています。
展覧会は、イギリス・ノッティンガムでのブランド立ち上げから世界的ブランドへと成長するまでの軌跡とポール・スミスの世界観が、映像や展示物を通して忠実に再現されています。
2013年にロンドンのデザインミュージアムで開催され、ヨーロッパ各地を巡回して、ついに日本へ上陸しました。
見どころはファッションだけではなく、多角的な視点からポール・スミスの世界観を楽しめること。
11歳の頃から写真を撮り続けているポール自らが撮影した写真や、カメラやオートバイほか多くのコラボレーションアイテムは、この機会にしか見ることができない貴重なコレクションです。中でも新しいストライプ柄のローバー社(当時)のミニは、本展が世界初公開だそう。
展覧会名の「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」からもわかるように、ポール・スミスを知らない人でも軌跡を追ううちに彼の人となりが見え、どんな対象物からインスピレーションを得てものづくりに取り組んでいるのかまで知ることができる、自己紹介のような興味深い展示構成になっています。
すべてのコレクションの発信源
ポール・スミスのオフィスやスタジオも完全再現
ポール・スミスのインスピレーションの源が垣間見える展示が、10代の頃から収集する絵画や写真が壁一面に飾られた約500点のアートウォールです。
アンディ・ウォーホルやビートルズなど有名なアーティストのものもあれば、友人や家族から贈られたもの、一般のファンから贈られたものまで混じっています。こうした一つひとつを大切に保管していることからも、ポールの人柄がうかがえるようでした。
続いて注目したいのは、ロンドンにあるポール・スミスのオフィスやデザインスタジオの再現コーナー。置かれているものはもちろん、散らばっている資料や書類の場所まで細部にわたり忠実に再現されています。
特にオフィスはポールが世界中を旅して集めたものが山積し、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような空間。
すべてのコレクションが目の前に再現された空間で話し合われ、生み出されているのかと思うとワクワクしてしまいます。まさにブランドのものづくりの裏側を覗くことができる貴重な展示です。
会場では、作品付近に提示されたQRコードを携帯やスマートフォンで読み取ることで、展示内容の音声ガイダンスを無料で聴くことができるサービスを実施。日本語ナビゲーターはポール・スミス愛用者の俳優・松田翔太さんが務め、ブランドへの理解をより深めることができる内容になっています。
ポール・スミスのクリエイションの秘密に迫る展覧会。この機会にぜひ訪れてみては?
(取材・文/開 洋美、撮影・川野結李歌)
ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH
会期:7月27日(水)〜8月23日(火)
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
時間:11:00〜18:00 ※金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:なし
入場料:一般1500円、高校・大学生1200円、小学・中学生500円 ※未就学児および障害者手帳をご持参の方(付き添いの方1名含む)は入場無料
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)