デザインインフォメーション

2016.08.08

創造力の軌跡をさまざまな視点から迫る
「ポール・スミス展」

イギリスのデザイナー、ポール・スミスの展覧会「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」が、現在、上野の森美術館(東京・上野)で開催されています。京都での開催終了後、2回目となる、ポール・スミスの世界観を肌で感じることができる大展覧会。約2800点の展示品が、多彩な創造力の軌跡に迫っています。

 

完全再現されたロンドンのポールのオフィス。モノにあふれているが、すべて彼の創造力の源になっている。10代に自転車レーサーを目指しただけに自転車も置かれている。

完全再現されたロンドンのポールのオフィス。モノにあふれているが、すべて彼の創造力の源になっている。10代に自転車レーサーを目指しただけに自転車も置かれている。

 

 

ファッションだけではなく

写真からコラボアイテムまで多角的に楽しめる

 

イギリスを代表するデザイナーのひとり、ポール・スミス。

 

人気のストライプ柄のプリント、シンプルなアクセサリーや小物、洗練されながらもどこかユニークさを忘れないポール・スミスのコレクションは、世界中で高く評価されています。

 

展覧会は、イギリス・ノッティンガムでのブランド立ち上げから世界的ブランドへと成長するまでの軌跡とポール・スミスの世界観が、映像や展示物を通して忠実に再現されています。

 

2013年にロンドンのデザインミュージアムで開催され、ヨーロッパ各地を巡回して、ついに日本へ上陸しました。

 

ポールのアートウォール。10代から絵画や写真を集めているが、選定された約500点ものアートを壁に展示。

ポールのアートウォール。10代から絵画や写真を集めているが、選定された約500点ものアートを壁に展示。

 

 

ポールの頭の中の浮かぶさまざまなアイデアを、インスタレーション(11台のモニター映像)で表現。

ポールの頭の中の浮かぶさまざまなアイデアを、インスタレーション(10台のモニター映像)で表現。

 

 

(左)1970年にイギリス・ノッティンガムのポール・スミス1号店となった紳士服店を再現。思い出の品々を展示。(右)ポールにとって初めてのショールームとなったパリのホテルのベッドルームも再現された。

(左)1970年にイギリス・ノッティンガムのポール・スミス1号店となったショップを再現。思い出の品々を展示。
(右)ポールにとって初めてのショールームとなったパリのホテルのベッドルームも再現された。

 

 

見どころはファッションだけではなく、多角的な視点からポール・スミスの世界観を楽しめること。

 

11歳の頃から写真を撮り続けているポール自らが撮影した写真や、カメラやオートバイほか多くのコラボレーションアイテムは、この機会にしか見ることができない貴重なコレクションです。中でも新しいストライプ柄のローバー社(当時)のミニは、本展が世界初公開だそう。

 

展覧会名の「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」からもわかるように、ポール・スミスを知らない人でも軌跡を追ううちに彼の人となりが見え、どんな対象物からインスピレーションを得てものづくりに取り組んでいるのかまで知ることができる、自己紹介のような興味深い展示構成になっています。

 

伝統と現代性が共存するポールがつくる洋服を、過去から現在までさまざまなラインナップを展示。

伝統と現代性が共存するポールがつくる洋服を、過去から現在までさまざまなラインナップを展示。

 

 

ポール・スミス社のデザインスタジオを完全再現。人気のあるストライプ柄は、すべてここから生み出されている。

ポール・スミス社のデザインスタジオを完全再現。人気のあるストライプ柄は、すべてここから生み出されている。

 

 

デスクの上のコンピュータや布見本など臨場感にあふれている。

デスクの上のコンピュータや布見本など臨場感にあふれている。

 

 

まるで今スタッフがここで働いているような印象を与え、ファッションデザインのリアルな現場を感じる。

まるで今スタッフがここで働いているような印象を与え、ファッションデザインのリアルな現場を感じる。

 

 

すべてのコレクションの発信源

ポール・スミスのオフィスやスタジオも完全再現

 

ポール・スミスのインスピレーションの源が垣間見える展示が、10代の頃から収集する絵画や写真が壁一面に飾られた約500点のアートウォールです。

 

アンディ・ウォーホルやビートルズなど有名なアーティストのものもあれば、友人や家族から贈られたもの、一般のファンから贈られたものまで混じっています。こうした一つひとつを大切に保管していることからも、ポールの人柄がうかがえるようでした。

 

続いて注目したいのは、ロンドンにあるポール・スミスのオフィスやデザインスタジオの再現コーナー。置かれているものはもちろん、散らばっている資料や書類の場所まで細部にわたり忠実に再現されています。

 

パソコン画面に表示されたポール・スミス自身が印象的。

パソコン画面に表示されたポール・スミス自身が印象的。

 

 

多くのジャンルとコラボレーションしたポール。(左)花柄にデザインされたロバーツラジオ。(右)ストライプ柄が施されたエビアン。

多くのジャンルとコラボレーションしたポール。(左)花柄にデザインされたロバーツラジオ。(右)ストライプ柄が施されたエビアン。

 

 

(左)ポールがデザインした腕時計も時代順に展示。(右)写真好きでも知られるポール愛用のカメラ。気に入ったシーンやアイデアが浮かぶと、それを残しておくために撮影した。

(左)ポールがデザインした腕時計も時代順に展示。(右)写真好きでも知られるポール愛用のカメラ。気に入ったシーンやアイデアが浮かぶと、それを残しておくために撮影した。

 

 

特にオフィスはポールが世界中を旅して集めたものが山積し、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような空間。

 

すべてのコレクションが目の前に再現された空間で話し合われ、生み出されているのかと思うとワクワクしてしまいます。まさにブランドのものづくりの裏側を覗くことができる貴重な展示です。

 

会場では、作品付近に提示されたQRコードを携帯やスマートフォンで読み取ることで、展示内容の音声ガイダンスを無料で聴くことができるサービスを実施。日本語ナビゲーターはポール・スミス愛用者の俳優・松田翔太さんが務め、ブランドへの理解をより深めることができる内容になっています。

 

ポール・スミスのクリエイションの秘密に迫る展覧会。この機会にぜひ訪れてみては?

 

(取材・文/開 洋美、撮影・川野結李歌)

 

壁一面にかざられたカラフルな無数のボタン。

壁一面にかざられたカラフルな無数のボタン。

 

 

(左)ストライプ柄のローバー社(当時)のミニは世界初公開。2015年秋に発表されたストライプ柄での装飾。(右)イギリスを代表する名車トライアンフともコラボレーション。

(左)ストライプ柄のローバー社(当時)のミニは世界初公開。2015年秋に発表されたストライプ柄での装飾。
(右)イギリスを代表する名車トライアンフともコラボレーション。

 

 

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ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH

会期:7月27日(水)〜8月23日(火)

会場:上野の森美術館

住所:東京都台東区上野公園1-2

時間:11:00〜18:00 ※金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)

休館日:なし

入場料:一般1500円、高校・大学生1200円、小学・中学生500円 ※未就学児および障害者手帳をご持参の方(付き添いの方1名含む)は入場無料

お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

http://paulsmith2016.jp/index.html

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