デザインインフォメーション
115人のアーティストの作品を一挙に展示
ワタリウム美術館の「古今東西100人展」
20世紀から21世紀にかけて活動した国内外のアーティスト、115人の作品を集めた展覧会「古今東西100人展」が渋谷区神宮前の「ワタリウム美術館」で開催中だ。ワタリウム美術館の収蔵品を中心に、約250点が一挙に公開されている。
一見、無秩序にさえ感じられる多様性
現代アートの広がりを肌で感じる
ワタリウムは、独創的で内容の濃い展示を多く手掛けているが、スペース的にはけして広々とした美術館ではない。「あの空間に、100人以上もの作品が並べられたらどうなるんだろう?」と思いながら足を運んだ。
2階から4階までの3フロアに、およそ250点の作品が所狭しと展示されている。情報量の多さに圧倒されそうになるほどだ。
展示されている作品はじつに多様だ。絵画やスケッチがあり、写真があり、彫刻があり、版画があり、インスタレーションや映像作品があり、記録映像がある。
アンディ・ウォーホルや岡本太郎、草間彌生、キース・ヘリングなど、美術に疎い人でも「現代美術」と訊いて名前や作風がなんとなくわかるようなアーティストの作品もあれば、バックミンスター・フラーやルドルフ・シュタイナー、岡倉天心、ジョン・ケージ、ダライ・ラマ14世のような思想家の作品もある。伊藤 存、青木陵子、さわひらき、JRなど国内外の気鋭の現代美術作家の作品もある。
展示空間は、現代美術のカオスと言っても過言ではない。時代にも、地域にも、テーマにも、表現方法にも統一性のない作品群が、「ワタリウムが選んだ優れた現代美術である」という唯一の基準によって、ひとつの場を構成している。
ワタリウムの視点という共通項が、現代美術の点と点を、線として、面として、つなげているのである。
入館者による人気投票で、ウェブサイトの表示が変わる
参加型の企画やレクチャー、ワークショップも多彩に展開
「古今東西100人展」に展示されている作品のなかには、強く惹かれるものもあれば、特に関心を抱かないもの、なかには嫌悪感を覚えるものもあるかもしれない。既知の作家や作品との懐かしい再会もあれば、衝撃的な出会いもあるだろう。
会場では、先入観を持たず、キャプションに頼らず、作品そのものをニュートラルに楽しむことをおすすめしたい。個性際立つ作品群は、いつの時代も、人が思索し、模索し、表現し続けてきたことを教えてくれる。
アートに精通している人もそうでない人も、選び抜かれた雑多な作品に触れることで、必ず新たな発見があるはずだ。
展示以外の多彩な関連企画にも注目したい。研究者を講師に迎えたレクチャーや、アーティストが講師を務めるワークショップなどが開催される。また、入館時に渡される用紙に気に入った作品を記入して投票、毎週集計を行い、1位の作品が展覧会のウェブサイトのトップ画像となる。
現代アートの多様性に触れられる展覧会『古今東西100人展』は、9月13日(日)まで開催されている。この機会にアートの間口の広さと奥深さを、ぜひ体感していただきたい。
(文・久保加緒里)
アイ・ラブ・アート 13 ワタリウム美術館コレクション
古今東西100人展
会期:2015年5月30日[土]- 9月13日[日]
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
電話:03-3402-3001
休館日:月曜日[7/20, は開館]
開館時間:11時より19時まで(毎週水曜日は21時まで延長)
入館料:大人1000円 / 学生(25歳以下) 800円
ペア券:大人2人 1600円 / 学生2人 1200円