デザインインフォメーション
プロも納得のインテリア・プランが続々!
町田ひろ子アカデミー公開プレゼン
「町田ひろ子アカデミー」の生徒による公開プレゼンテーションが、12月8日にサントリーホール ブルーローズ(小ホール)で開催された。会場にはインテリアや住宅関連の約100社の企業人も訪れ、披露された完成度の高いインテリア・プランに大きな拍手を送った。
「エコキッチン&美防災」をテーマに
各クラスの代表チームがインテリア・プランを披露
プロとして活躍できるインテリアコーディネーターを育成している町田ひろ子アカデミーが、生徒たちの就職活動の一環として開催している「町田ひろ子アカデミー公開プレゼンテーション」。今年で30回目を迎える毎冬の恒例イベントだ。
今年のテーマは「エコキッチン&美防災」。
2011年3月の東日本大震災以降、町田ひろ子アカデミーがテーマとして追求し続けている「美防災(インテリアと防災を結びつけたコンセプト)」とエコロジーなキッチンを組み合わせ、マンションのリフォームを想定した提案を行った。
檀上で発表したのは、インテリアコーディネートを専門とする5つのクラスからそれぞれ選出された代表チーム。
コンセプトに続き、インテリアイメージ、ファニチャープラン、フロアプラン、ライティングプランなどの詳細、予算まで、音楽による演出も加えながらプレゼンテーションを行い、企業人の投票によって「ベストプレゼンテーション賞」が選ばれた。
実際に活用したいと思わせる内容が随所に盛り込まれた各チームの作品は、それぞれに個性が光る秀作ぞろいだった。
公開プレゼンテーションに全力で挑んだ5チーム
アカデミーの意識の高さと成果の大きさを実感
『晴れる家-Ha!Re!Ru!Ya!』
シンプルで合理的、男性も積極的にキッチンに立ちたくなるようなデザインを追求。アイランドキッチンを住まいの中心に置き、ストック用冷蔵庫も設置。廊下をなくして広い避難経路を確保しながら、必要に応じて各居室を引き戸で仕切る開放的な回遊型プランとした。
『未完成~未来へつなぐ家』
あえて未完成な部分を残して、住む人のライフステージや使い勝手で完成させるインテリア空間を目指した作品。リサイクルした生活排水を使って野菜の水耕栽培ができるキッチンで、「朝採れ野菜」を使ったホームパーティーも楽しめる。
『美・CYCLE(び・さいくる)』(全日制で、唯一男性がいたチーム)
中古の業務用厨房機器を採用した本格派のこだわりキッチンと自転車発電、床発電を組み合わせたエコプラン。防災、環境、健康、交流の循環を生み出す住まいを提案した。
『THE STAGE!!』
住空間をステージに見立ててプランニング。黒板塗装を採用し、予定やアイデアなどを自由に書き留めておけるクリエイティブな空間とした。朝日が差し込むダイニングは、六角形のオリジナルテーブルを組み合わせることで多様な使い勝手に対応する。
『Every×One~それぞれのキッチンから始まる新しい暮らし』
作業用のテーブルの周囲に、コンロやバーカウンターなど機能ごとに独立した独創的なキッチンを採用。ひとりでキッチンを使いこなすことも、調理をする、カクテルをつくる、コーヒーを入れる……家族がそれぞれに得意な分野の作業をすることもできる。オーディオとキッチンのコラボレーションで音楽と料理のライブ感も楽しめるキッチンを提案した。
どのチームのプレゼンテーションも、生徒の発表とは思えない高い完成度に仕上がっていた。各チームの魅力的なアイデアのなかで、『Every×One~それぞれのキッチンから始まる新しい暮らし』がベストプレゼンテーション賞を獲得した。
日本で最初に「インテリアコーディネーター」のキャリアを提唱し、実務を想定したカリキュラムで即戦力となる人材を育成し続けている町田ひろ子アカデミー。公開プレゼンテーションに全力で挑んだ代表5チームが、アカデミーの意識の高さと成果の大きさを体現していた。
デザインの世界ではプレゼンテーション力が武器になる
発表した全チームに、企業人も高評価
リサーチからベースコンセプトの作成、具体的なプランへの落とし込み。約3ヵ月かけてひとつの課題に取り組み、実践さながらに準備したプレゼンテーションはどのチームも見応えがあり、会場に足を運んだ企業人たちからも高く評価された。
今回の公開プレゼンテーションに協賛した5社からは、次のようなコメントが寄せられた。
「“美防災”を進化させたプランに驚いた。機能性と明るさに、夢と希望がプラスされており、勇気をもらった」(サンゲツ/吉川恭伴氏)
「どのチームも、プランの内容もトークも立派だった。クライアントにしっかり伝わるプレゼンテーションだったと思う」(大光電機/筒井 功氏)
「町田アカデミーらしい“はじめに暮らしありき”の発想がすばらしかった。競争社会は長距離走のようなもの。ぶれない軸を持つ頑固さと、最新情報を採り入れながら協調性を持って取り組む柔軟性を養っていってほしい」(パナソニック エコソリューション社/崎山昌治氏)
「プレゼンテーション力が年々上がっている。一方で、カタチや素材など“モノの持つ力”が弱まってきているようにも感じた。これからは、もっともっと創造力を磨いていってほしい」(マナトレーディング/内田照久氏)
「防災やキッチンは身近なテーマで興味深く聴かせてもらった。各チームの一瞬にかける強い想いが伝わってきて、いいプレゼンだった」(メガソフト/川田哲也氏)
町田ひろ子校長は、「まじめな生徒が多かった今年は、全体的にプレゼンテーションのレベルも高かった」と総評。
「社会に出れば競争が待っている。受注型ではなく提案型の仕事ができるようにならなければ、生き残れない。今回の公開プレゼンテーションを通じて、たくさんの企業の方から生のご意見をいただけたこともとても勉強になったと思うので、これからもがんばっていってほしい」とエールを送った。
なお、公開プレゼンテーションは大阪校、福岡校でも開催されており、各エリアでベストプレゼンテーション賞に輝いたチームは、12月10日から12日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催された『エコプロダクツ2015』でも発表を行った。
インテリアデザインの最前線に多くの人材を輩出する町田ひろ子アカデミー。将来を担う才能あるインテリアコーディネーターの活躍に期待したい。
(文・久保加緒里、写真・川野結李歌)
町田ひろ子アカデミー
電話:0120-844-211