行ってみたいデザイン空間
日本らしさを追求したインテリアの美意識
自分スタイルで暮らせる極上の“日常”が楽しめる
アンダーズ 東京に見られる和のテイストはここが日本だからというだけでなく、虎ノ門という場所の豊かな歴史を反映させた結果でもある。そのコンセプトを視覚化させたのはトニー・チーと緒方慎一郎。直截的な和とモダナイズされた和が交錯するインテリアはわれわれ日本人にとっても斬新に映る。
なかでもトニー・チーがこだわったのは和紙の扱いである。全館を通して見られる柔らかな印象の白い壁面は、実は和紙が張られたもの。ライティングと相俟って明かり障子のような効果を上げている。
客室階のコリドーなどパブリックエリアではミニマルにレイアウトされていた“障子の桟”は、客室内ではリズミカルに変調してよりコンテンポラリーな印象を増している。桂離宮の美意識もアイディアソースの1つに挙げられているが、そう言われてみれば書院の違い棚のようにも見えてくるから不思議だ。
アンダーズ 東京の客室で何より驚くのはそのバスルームエリアの広さだろう。スタンダードクラスでも50平方メートル超の居室の、約4分の1を占めるということからもその贅沢さは伝わるのではないだろうか。
外資系のラグジュアリーホテルを見慣れた目にはむしろ違和感をもって映るかもしれないのが丸く深いバスタブだ。これは日本の“風呂文化”に影響を受けてのことだという。しっかりと身を沈められる広さは、シャワー中心の現代日本人にはかえって新鮮かもしれない。
日本らしさといえば、備え付けのスリッパに鼻緒付きがあることや、スナックにおかき・あられが用意されていることもご愛嬌。ちなみにこれらスナック類やアルコール以外のミニバーはすべて無料。他にWi-Fiと市内(都内)通話も同様である。
コーヒーはNespressoで好きなものをいつでも楽しめるし、鉄瓶のティーポットで淹れるお茶はやはり美味しい。これらは客室内でのストレスフリーな滞在に大いに寄与してくれるサービスではあるが、同時にチェックアウト時の煩瑣な手続きでせっかくの滞在の印象に水を差すのを避けたかったためでもあるとか。実に気が利いている。
もちろんダイニング事情は充実している。カジュアルダイニングの“BeBu”ではハンバーガーをメインに据えていて面白い。
ファシリティの面でも特筆すべき点はあるが、とりわけスパのメニューである“JIYUJIZAI”はアンダーズのパーソナルスタイルを象徴している。施術に用いる素材のブレンドからトリートメントそのものまで自由にカスタマイズできる。
他に“地上で最も高い”チャペルでのウェディングでは持ち込み料を取らないという。これは該当者にしかわからない特典だが、パーソナルスタイルを貫きたい昨今の大人ウェディングには欠かすことのできない要件である。
海外旅行のトレンドとして用いられる“暮らすように過ごす”というフレーズは、地元の住人のように日常を楽しみたいというものだ。
私たち東京在住者もここアンダーズ 東京にステイすることで、自分スタイルで暮らすように東京の“日常”を楽しむことができるだろう。アンダーズのパーソナルスタイルがそれをサポートしてくれるはずだ。
(文・入江眞介)
アンダーズ 東京(ANDAZ TOKYO TORANOMON HILLS)
住所:東京都港区虎ノ門1-23-48(虎の門ヒルズ47~52階)
電話:03- 6830- 1234
客室数:164室(うちスイート8室)
レストラン&バー:アンダーズ タヴァン、ルーフトップバー、ビブ、ペストリーショップ
スパ:AOスパ&クラブ
http://www.tokyo.andaz.hyatt.jp/