デザインセレクション
奥は「ミニマリスト・ラグジュアリー」ラインのソファ。手前は「マリタイム・メモリーズ」ラインのコーヒーテーブル。
素材の特性を熟知した気鋭のタイ人デザイナーが
ラタン・ファニチャーの可能性を拡げる
そしてこのブランドの特色をいちばん強く表しているのが、やはりモダンスタイルだろう。
いくつか組み合わせると素材の色も相俟って波打つ砂丘のような造形美を楽しめるソファや、微妙なアングルにあらかじめ傾いたアシンメトリーなシェイプのアームチェアとオットマンは、その名も「スカルプチャー・アート」ライン。
シンプルでストレートな「クリーン・ダイナミズム」ラインからは、ラタンという素材の特性がより強く伝わってくる。アームと背を一体に編み上げたさまざまなチェアは、ラタンのしなりを活かした傾斜角度で“もたれ心地”が絶妙だ。
ほかに日本から想を得たラインもある。ユバやトリイと名付けられた家具たちは、透けるほどにざっくりと編まれたテクスチャーが確かに湯葉を、そしてサイドから見たアームと脚のシルエットがまさに鳥居を思わせる。
「コーナー43デコール」の製品はすべてがハンドメイドである。熟練した職人がタイならではの伝統的なテクニックを使って一点一点作り上げた家具からは、やはり人の手による温もりが感じられる。
そしてデザインを手掛けているのは各賞を受賞している注目のタイ人デザイナー、Jitrin Jintaprecha。彼の監修のもとにタイの若手デザイナーたちとも組んで、すべてのラインがデザインされている。
籐家具と聞いて連想される典型的なオールドスタイルや、アジアンリゾート風な紋切り型のデザインとは一線を画す「コーナー43デコール」の家具たち。素材の特性を熟知した作り手と既成観念にとらわれないデザイナーとの理想的な二人三脚が、ラタン・ファニチャーの可能性を拡げているのだ。
バンコクに旅した際には、ぜひとも立ち寄りたいお薦めのインテリアショップ。モダンで新感覚のアジアンテイストに必ず出会えるはずだ。
(文・写真/入江眞介)
「マリタイム・メモリーズ」のソファ。ラタンをシンプルに重ねたデザインがかえって新鮮。
手前は「ブルーミング・セオリー」ラインのペンダントランプ。奥は「スカルプチャー・アート」ラインのウォールデコレーション。
「アジアン・コンテンポラリー・リビング」ラインのサイドテーブル。天板のカーブといいその高さといいスツーツとしても使えそう。
「ブルーミング・セオリー」ラインのスツール。背のラタンのあしらいが新鮮だ。
Corner 43 Décor(コーナー43デコール)
住所:61/2 Sukhumvit soi 53, Sukhumvit Road,
Klongton-Nua, Wattana, Bangkok, Thailand
電話:+66 2 260 1124