デザインセレクション
光の彫刻のような美しい陰翳
北欧の名作ライトが約50年の時を経て復活

まるで光の彫刻のように美しい北欧のビンテージライトの復刻版が、ヤマギワから発売された。1960年代から70年代にかけてデンマークのハンス・フォルスガード社で製造されていたペンダントライト。「H・Fシリーズ」として、2016年12月12日より販売されている。
幾重にも重なったシェードは
やわらかな表情を見せる光のオブジェ
北欧の照明は光の扱いが巧い。緯度が高くて日照時間が短く、冬至の前後には一日中太陽が昇らない極夜もある。光に憧れるあまり、光に対する感覚がひときわ繊細になるのだろうか。
このたびヤマギワから復刻された「H・Fシリーズ」のペンダントライトも、居室をやさしい光で満たすライティングが特徴だ。

居室をやさしい光で満たすライティングが特徴の「H・Fシリーズ」のペンダントライト。
上下にも左右にもシンメトリーなデザインのシェードは、光源が直接見えにくいよう、サイズと形状の異なるひし形のスチールプレートを重ね合わせた構造。
シェードのプレートは真下から見ると五角形に組まれていることがわかる。シェードの隙間から落ちる光が手元を照らし、上に漏れる光はほのかに天井に反射する。
計算しつくされた幾何学的なフォルムでありながら、有機的な美しさがある光のオブジェのような照明なのだ。

大小のひし形が連続して形つくられたシャープなフォルムにより、光の彫刻のような美しい陰影が空間に浮かび上がる。スチールシェードは溶接でつなぎ合わせられ、丁寧な手仕事によって当時のデザインが再現されている。
点灯時にも消灯時にも
それぞれの雰囲気を醸し出す
ペンダントライトではあるが間接照明に近いやわらかな光で照らしてくれるH・Fシリーズのオリジナルは、デンマークのハンス・フォルスガード社から1960年代に発表されたライトだ。オリジナル販売当時から、ヤマギワが輸入・販売を行っていた。
1974年のヤマギワのカタログには、デザイナーのプレーベン・ダルのメッセージも寄せられていた。
そのなかに“照明器具は、点灯されたときと点灯されないときによってそれぞれ別の雰囲気を造り出します。”と記されているように、H・Fシリーズも灯りの有無で表情が変わることを意識してデザインされている。

1970年代のYAMAGIWAカタログで紹介されていたラインナップ。
濃淡2色のグレーで彩色された最外周のシェードは、デザイン上のアクセントであり、点灯時には陰影を際立たせる効果を発揮する。他に類を見ない独創性がありながら、主張しすぎることがない。
ナチュラルな空間でも、モダンな空間でも、上質な彩りを添えるH・Fシリーズ。現在のところ復刻版は直径410×高さ373mmの1種類のみだが、オリジナルにはサイズちがいやシーリングライトとしても使えるハーフタイプもラインナップされていた。将来的にバリエーションの拡充もあるかも?

シェード外周部に施された濃淡2色のグレー塗装が、点灯時の陰翳を強調するとともに、消灯時にはアクセントとしての効果も高めている。
価格:8万8000円(税抜き) サイズ:直径410×高さ373mm、全長700-1500 mm 質量:2.5kg
yamagiwa tokyo
住所:東京都港区南青山2-27-25 オリックス南青山ビル9階
電話:03-6741-5800
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜日、日曜日