デザインセレクション
世界に1脚しかないチェアにも出会える
「クラフトマンシップの真髄」が開催中
東京・銀座で最高級のデンマーク家具を専門に扱うインテリアショップ「ダンスク ムーベル ギャラリー」(DANSK MØBEL GALLERY)で、企画展「クラフトマンシップの真髄」が開催されています。
フィン・ユールがデザインした世界に1脚のチェアからハンス・J・ウェグナーの幻のデスクまで、この機会にしか見ることのできない家具が並ぶ貴重な企画展です。
世界にたった1脚。
キューバン・マホガニーの「チーフティンチェア」
北欧のミッドセンチュリー期(1940〜1960年代)には、才能あるデザイナーや家具職人の手によって多くの名作が生まれました。この当時製造された北欧家具は、ヴィンテージ家具としていまだ根強い人気を誇ります。
ダンスク ムーベル ギャラリー(DANSK MØBEL GALLERY)が開催する企画展「クラフトマンシップの真髄」では、ミッドセンチュリー期を代表する希少なデンマーク家具の数々を間近に見ることができます。
なかでも注目したいのは、フィン・ユールによるキューバン・マホガニーの「チーフティンチェア」。
建築家であり偉大な家具デザイナーでもあった北欧デザインの巨匠、フィン・ユールが1949年にデザインしたのがチーフティンチェアです。「酋長のための椅子」という意味をもつこの椅子は、威厳と品格を兼ね備えた名作として知られています。
現在背のボタンが4つのものが製造されていますが、オリジナル作品は背のボタンが3つ。
オリジナルはニールス・ヴォッター(79脚)、イヴァン・シュレクター(10脚)、ニールス・ロート・アナセン(150脚)という3つの工房でのみ製造され、計239脚しかありません。
その239脚のうち、たった1脚だけがキューバン・マホガニー(幻のマホガニーとも称される希少な銘木)で製造されたもの。
本展覧会で展示されているチーフティンチェアが、まさにその1脚です。
ハンス・J・ウェグナーの
「幻のデスク」や世界に50台のフルーツボウルもお目見え
さらには、現在ハンス・J・ウェグナーの作品をもっとも多く製造するデンマークの工房、PPモブラー社の製品も大きな見どころ。
家具職人でありデザイナーでもあったウェグナーは、機能性と美しさを兼ね備えた普遍的な作品を多く生み出しました。
今から60年前にウェグナーがデザインした、「幻のデスク」といわれる「PP571 アーキテクツ デスク」は、木とスチール素材の組み合わせにより構成されたもの。
ウェグナーが生涯でデザインした家具のなかでも、木とスチールを組み合わせたものはそこまで多くありません。広い天板は、設計資料を広げて見比べることの多い建築家のことを十分に考えてデザインしたのでしょう。
また、このアーキテクツ デスクは世界で数台しか製造されていないため「幻の逸品」などといわれていますが、本展で展示されているものは日本に一台の特注仕様。
通常は天板にオーク材を使用していますが、展示品に採用したのはチーク材。特有の色の濃さに加え、独特の経年変化を楽しむことができます。
このほかに、同じくウェグナーがデザインした世界に50台限定のフルーツボウルや、ウェグナーの代表的傑作として世界中で愛される椅子、「ザ・チェア」なども展示。
デンマークが誇る美しく洗練されたデザイン美は、一見の価値ありです。
(取材・文、開 洋美)
クラフトマンシップの真髄
会期:11月25日(金)〜12月28日(水)
場所:DANSK MØBEL GALLERY(ダンスク ムーベル ギャラリー)
住所:東京都中央区銀座1-9-6 松岡第二銀緑館2F
時間:12:00〜19:00
定休日:火曜日
お問い合わせ:03-6263-0675