せきねきょうこの気まま旅
[第17回]ビュルゲンシュトック ホテル&アルパイン スパ ~ビュルゲンシュトック /スイス~
オードリーが愛した村からルツェルン湖の情景を独り占め!
かつて、世界中で愛された女優、オードリー・ヘップバーンがこよなく愛し、挙式をした小さなチャペルも残る美しく小さな村に、スイス随一の豪華さを誇るリゾート複合施設が誕生した。
国際空港のある大都会チューリヒから列車で約45分、古都ルツェルンに向かい、町の中央に広がる美しい湖‘ルツェルン湖’を専用のボートで渡る。ルツェルンの町は、国鉄駅周辺のモダンな建物が並ぶ新市街と、有名なカペル橋を渡ると中世の家並みを残す旧市街に分かれ、小さい町ながら情緒的な町を訪れる観光客はかなり多い。また湖畔に建ち並ぶ老舗5ツ星ホテルの数々も魅力的だ。湖を中心に古くからスイス観光人気を牽引してきたルツェルンに、また、新たに高級感のある観光資源が加わったことになる。
ビュルゲンシュトックに向かう斬新な形の専用ボートで、湖をゆったりと走行し約20分。ビュルゲンシュトック・リゾートへは、ケールシッテンというピアで下船する。到着のピアの前には、山の急斜面を登り下りする真っ赤な専用フニキュラが待機しており、それに乗り込んで、急斜面を一気に500m登れば到着!降りたところには、夢のようなリゾート施設が広がっている。
まず山頂から、湖を見下ろすようにぎりぎりに建つのが最高級ホテル2軒とレジデンス棟だ。あとの施設はマウンテンビューとして少し内陸に点在している。全体が完成し、2017年9月14日のローンチに始まったリゾートは、2018年9月28日にグランドオープンを迎えている。
ホテルは、5ツ星S(スーぺリア)、5ツ星、4ツ星S(スーペリア)の3軒、他に大型のレジデンス、そして9ホールのゴルフ場、室内プール2か所、屋外プール1か所を含む10000㎡に及ぶアルパイン・スパがあり、ショッピングエリアも造られた総合型リゾート「ビュルゲンシュトック ホテル&アルパイン スパ」リゾートである。
リゾート全体の核を成すのが最高級ホテル「ビュルゲンシュトック ホテル」だが、1873年6月、当初は「グランド ホテル」としてオープンしている。かつてはオードリー・ヘプバーンやソフィア・ローレン、チャーリー・チャップリンなど、多くのセレブリティが訪れたホテルであり、その逸話は数知れない。とりわけオードリー・ヘップバーンはこの美しい村をこよなく愛し、メル・フェラートン挙式にも、今村の小さなチャペルを選んだ。今なお、このチャペルは手入れが施され美しく残され使われている。
私の滞在は最高級クラスの「ビュルゲンシュトック ホテル」だった。スイスの豪華ホテルは、ロンドンやパリに比べればとてもカジュアルで過ごしやすい。ホテル内に客室数は全102室、ひとつひとつの部屋のスペースが広く、家具や調度品、アメニティなど高品質であるのは言うまでもない。それにスイスは、ラグジュアリーホテルの概念を産み出したと言われるホテル王、セザール・リッツの故郷でもあり、彼と成功を共にした料理人、フランス人のオーギュスト・エスコフィエに因んで、隣接の5ツ星ホテル「パラス ホテル」に内には、メインダイニング「RitzCoffier」(リッツコフィエ)というフランス料理レストランが造られた。伝説の二人の偉業をたたえたオマージュである。まさにスイスが誇る未来型リゾートの完成形に、早くも、世界中から熱い視線が集まっている。
文/せきねきょうこ
Photo: Bürgenstock Resort
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、現在、新刊出版を準備中。
Bürgenstock Hotel 5* Superior
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