せきねきょうこの気まま旅

2017.12.22

[第6回] インターコンチネンタル
パリ ルグラン/フランス
オペラ座とともに伝統と歴史を刻む
パリを代表する華麗なグランドホテル

オペラ座の正面広場に面して、パリの伝統と歴史を受け継いでいる「インターコンチネンタル パリ ルグラン」。19世紀、ナポレオン帝政時代に落成した華麗なるグランドホテルは、若いころからの憧れでした。これまで数えきれないほど足を運んだパリですが、今回、初めて滞在。その世界一流の老舗ホテルの魅力にあらためて触れることができました。

 

 

(上)ホテルの夜景とオペラ座前の広場「Place de L’l’Opéra」。
(下)エントランスを入ってすぐのところにあるロビーラウンジ「ラ・ヴェリエール」。アフタヌーンティーもスイーツも大人気。 Photo:InterContinental Paris Le Grand

 

 

「オペラ座のホテル」とも称された

世界で最も美しいホテルのひとつ

 

歴史や伝統に彩られたホテルが居並ぶパリで、世界のアーティストの殿堂である世界遺産「オペラ座」(ガルニエ宮・Palais Garnier)に対峙し、最も目立つ場所に時を刻んでいるホテルが、グランドホテル「インターコンチネンタル パリ ルグラン」です。

 

開業時の最初期のゲストには、黎明期の明治政府が派遣した遣欧使節団が名を連ねたそうです。また、芳名録には、フランスで活躍した画家の藤田嗣治や、歌手の石井好子らの言葉が書き込まれているといいます。

 

かつて、私はパリから294㎞の距離にあるロアール川流域の町、アンジェで大学時代を過ごしました。大学時代もパリには数え切れないほど足を運んだ経験があり、今なお年に一度はパリに足を運んでいます。

 

 

落成した当時は、「オペラ座のホテル」とも呼ばれた。平和なるカフェの意味を持ち、ホテル一階にあるオペラ座前のカフェ・ド・ラ・ぺ。Photo:InterContinental Paris Le Grand

 

 

そんなパリの奥の深さは、ホテルの歴史とともに見えてくると感じています。ナポレオン3世統治下の第2帝政時代、1862年6月30日、ユジェニー皇妃により落成式が行われた「インターコンチネンタル パリ ルグラン」は、若いころからの憧れでもありました。

 

滞在は今回が初めてのこと。夢でもあった上階バルコニー付の上質な部屋に滞在できました。バルコニーからは、手が届きそうなほど近くに、目の前にオペラ座の黄金に輝く丸屋根が見えました。

 

ホテルはフランス政府に登録されている歴史的建造物を2箇所所有していることで、2002年から2004年にかけての大規模改修時には大変な気苦労があったと聞かされました。そのお陰で、ナポレオン帝政時代と変わらぬ華麗なる姿に生まれ変わりました。

 

 

客室に入ると、手紙と一緒に置かれていたウェルカムセット。パリらしいマカロンは自家製。

 

 

オペラ座と真向かいの客室のひとつデラックスオペラビュールーム。老舗ホテルの客室はいずれもそれほど広くはないが、家具や調度品、寝具などの高級感はすべてにおいて一流品。

 

 

世界一流の老舗ホテルの奥深さを

「パリ ルグラン」にあらためて感じる

 

そして、ル・グランホテルは世界で最高に美しいホテルのひとつとして、また、スゴンタンピール様式(第二帝政期様式)のエスプリをもっとも忠実に再現するホテルとして生まれ変わったのです。

 

客室は全470室、ボールルームや大小宴会場は21箇所もあるといいます。152年の歴史あるオペラボールルームの改装も終わり、中を見せていただきました。煌びやかな内装、ゴージャスなシャンデリアや飾り付けの中で、きっとこれからも厳かな祝宴が催されるのでしょう。

 

ホテル内で何よりも人気なのは、やはり、1階を占めるパリらしいレストラン「カフェ・ド・ラ・ペ」です。フランス国家優秀職人賞を受賞したエグゼクティブシェフ、クリストフ・ラウ率いるキッチンスタッフは、なんと全100名というからこれも圧巻です。

 

 

カフェで注文したのは旬の生ガキ。クリーミーで新鮮な牡蠣をレモンで。

 

 

バルコニーから望むオペラ座。窓を開けると手が届きそうなほど近いオペラビュールーム。

 

 

今回、パリを訪れたのは秋も終わりに近い11月。「カフェ・ド・ラ・ペ」のウィンドウには、数え切れない種類の生牡蠣が並べられ、観光客や歩行者が足を止めてじっと見ている姿がありました。季節の‘旬’は、世界中同じで、グルメな人々の目をくぎ付けにするのです。もちろん、私は新鮮な牡蠣をオーダーし、レモンを搾ってツルリといただきました。

 

パリでは近年辛い事件もありましたが、シャンゼリゼも、オペラ地区もこのホテルに泊まったことで、世界の一流とは、老舗とは、サービスとは…を改めて思い、ホテルの奥深い、不思議な魅力をあらためて感じたのです。

 

気取らずに温かい、洗練されていながらとてもナチュラルなスタッフの対応に、ホテルの職人芸のようなクオリティを知ることとなりました。パリを旅する楽しさは、ホテル選びに大きく左右されるのです。

 

(文・写真/せきねきょうこ)

 

Photo: Kyoko Sekine

 

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、2018年春の新刊出版準備中。

http://www.kyokosekine.com

 

 

InterContinental Paris Le Grand

インターコンチネンタル パリ ルグラン

住所:2 Rue Scribe, 75009 Paris, France

電話:+33-1-4007-3232  Fax:+33-1-4007-3030

客室数:470室

施設:カフェ・ド・ラ・ぺ、ラ・ヴェリエール(ロビーラウンジ)、バー、スパ、ヘルス&フィットネス、クラブラウンジ、ビジネスセンター、ほか

アクセス:地下鉄「オペラ」駅前

http://www.legrandparis.jp/

 

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