せきねきょうこの気まま旅

2019.05.31

[第23回]The Omnia ~ツェルマット/スイス~
山岳地初のデザインホテルは建築美、グルメ、景色も一流!

マッターホルンをバックに、高台に建つホテルのライティングが印象的な「ジ・オムニア」の前景。ガラス張りでどの部屋にも彩光がたっぷり。

「車窓の景色は、どこを切り取っても絵葉書のように美しい」と、スイスを旅する人々は口々にそう言います。また、カメラのシャッターを何度押してもきりがありません。隣国フランスとはレマン湖の真ん中で国境を分け、中世さながらのワイン造りがユネスコ世界遺産に指定されたフランス語圏、万年雪の銀峰輝くアルプスの連なるドイツ語圏、明るい陽ざしと豪華ホテルやヴィラが並ぶセレブの避寒地イタリア語圏、そして昔ながらの文化を残すロマンシュ語圏。この4つの異文化がひとつの小さな山岳国として成り立ち、それぞれに言葉も文化も食事も異なる、個性的な美しさを誇っているのが観光国スイスです。

中でも、夏旅に圧倒的な人気を誇るのが、マッターホルンの山麓にあるツェルマットであり、登頂を目指す登山家の基地ともなっています。

村の標高は1670m、両側を3000m~4000m級の山々に挟まれて谷間に細長く広がっています。村はスイス南西部のヴァレー州にあり、名峰マッターホルンが手に取るほど近い村として人気なのです。また、この村では昔から自然環境に厳しく配慮され、世界でもエコのパイオニアとして、ガソリン車乗り入れ禁止を初めて実行した歴史もあります。自家用車で旅をする人は、ツェルマット一つ手前の駅「テーシュ駅(Teasch)」で車を降り、駅前の巨大駐車場に止め、そこから列車でツェルマットに向かわなければなりません。スイス政府観光局東京オフィスによると、「ツェルマットの交通関連の歴史資料に、1931年にザンクト・ニクラウス~ツェルマット間の道路車両禁止という記載」「村の資料館には、1947年には最初の電気自動車が導入されたとの歴史資料がある」とのこと。

 

ホテル「ジ・オムニア」のエントランスはトンネルを渡って到着。このドアの中のエレベーターでロビー&レセプションへ。

 

高級感たっぷりのスタイリッシュなロビーラウンジ。夏でも寒い日には暖炉が灯され温かな空間となる。

 

シンプルな客室の一つ一つのマテリアルが高級品。「デラックス・ダブル・ルーム」。

 

スィートのひとつ、「オムニア・ルーフスイート」(110㎡)のリビングルーム。最上階のため景色も素晴らしい。

 

「オムニア・ルーフスイート」のバスルーム。木製のバスタブはスイスでも珍しい贅沢品。

 

客室は全30室。もしマッターホルンが見える部屋が望みなら、予約は1日でも早く入れることをお勧めしましょう。しかし、マッターホルンは見えずとも、すべての部屋にバルコニーがあり、村全体の美しい景観が楽しめます。まさにこれぞスイスの山岳リゾート地らしく、世界の有名山岳家との物語が残る老舗ホテル、古い教会、土産物屋、この地方特有のネズミ返しの伝統木造家屋など、旅情たっぷりな景観が村を埋め尽くしています。レストランも充実し、スイス料理を始めインターナショナルキュイジーヌが提供され、季節ごとの素材を丁寧に調理した数々が楽しめます。あまり知られてはいませんが、とりわけスイス料理は、意外に日本人の食の感性に嵌るものが多いこと、輸出の少ないスイスワインが美味しいことにも、きっと驚かされるでしょう。

 

上:レストランは一か所、朝食から夕食までここがメインダイニング。
左下:スイス料理とインターナショナル料理を提供するレストランでは、新鮮な高級食材を使用。写真は季節の野菜がたっぷりの一皿。
右下:スイスと言えばチーズの国。食後のデザート前に新鮮チーズが振舞われる。

 

屋内プール(30度)もあるが、ここは屋内プールに続く38度のアウトドア・ジェット・プール。好天ならばマッターホルンも見えて爽快。

 

文/せきねきょうこ

Photo: The OMUNIA

 

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、現在、新刊出版を準備中。

http://www.kyokosekine.com

 

The OMNIA
(ジ・オムニア)

Auf dem Fels, CH-3920 Zermat Switzerland
☎︎:+41 27 966 71 71
https://www.the-omnia.com/en/hotel/

客室数:30室(内スィート12室)
料金:(6月参考価格)370.CHF~3500.CHF

日本の連絡先:直接現地へ、info@the-omnia.com

取材協力:スイス政府観光局

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