せきねきょうこの気まま旅

2018.09.28

[第15回]~ベルモンド・ヴィラ・サンミケーレ~フィエゾーレ/イタリア~
咲き誇る花に包まれ、丘の上からフィレンツェを一望

ヴィラ・サンミケーレの入り口を飾る芸術的なファサード。これが精鋭と言われたミケランジェロの作品。下に見える街が古都フィレンツェ。

 

イタリアを旅する人が、一度は行きたいと願う美しい古都フィレンツェ。その街を離れ、北東に位置するなだらかな丘を登りきると、エトルリア人によって建設された小さな丘の町、フィエゾーレに到達します。フィレンツェよりも歴史の古い町フィエゾーレに近づいてくると、その道すがら、見晴らしの素晴らしい丘の頂に15世紀築の旧修道院、現在のヴィラホテル「ベルモンド・ヴィラ・サン・ミケーレ」が静かなたたずまいを見せています。

 

 

眼下に広がるフィレンツェの街。

 

 

この急斜面に建つヴィラホテルからは、まるで絵葉書のようにフィレンツェの全貌が俯瞰で見渡せ、とりわけ世界遺産となっている旧市街の様子全体をも望め、美しい情景に飽きることを知りません。誰もが感動する息を呑むような景色の中で、ホテルの敷地にはイタリア式庭園が広がり、レモンやオリーブの木々、薔薇や数々の色の花が咲き誇っています。15世紀に建てられたヴィラ(旧修道院)のファサードは、かの有名なミケランジェロの設計によるものといいます。ホテルとなった現在でも、館内には、ルネッサンス時代の修道院を彷彿とさせる空間が残され、イタリアの歴史の中で、とりわけ繁栄を遂げた芸術の粋を肌で感じることになるでしょう。

 

 

左:館内のメインレストラン「ロッジャ・レストラン&テラス」。 右上:館内席よりも人気の長めのいいテラス席。 右下:美味なるイタリアン、フィレンツェ地方でも高い評価。新鮮サラダとほうれん草のパスタ。

 

 

斜面に建つヴィラの敷地最上部には屋外プールが造られています。夏のハイシーズンともなると、長逗留のヴァカンス客でプールサイドは賑わいますが、季節を問わず、景色のいいレストランではランチを楽しむ人が多くいます。そのメインダイニング「ラ・ロッシャ」は、ホテルが最も自慢とする場所です。ガラス窓のないオープンエアのコリドー(通路)で、そこに造られたアーチ型天井のテラス席は、週末など予約を取るのも難しいといいます。テラスに座り、美味しいイタリア料理に舌鼓。まさに時がゆったりと流れ、トスカーナ地方の小さな町ならではの至福の時が過ぎていきます。

 

 

最上級のスィートルーム「ミケランジェロ・スィート」。

 

 

庭園の最上部にあるプールはすべてを見渡せる。

 

 

ヴィラホテルらしい客室内は特注家具が置かれ、歴史や伝統に融合された斬新でラグジュアリーな空間が造られています。庭の一画には離れもあり、「リモナイア・スイート」として家族連れやハネムーナーに大人気。専用のプールも設置されたこのスィートは、まさにプライベート感満載の個人の別荘滞在のようです。客室とスィートを合わせ、全45室のヴィラホテル。朝に夕に、刻々と色を変える古都フィレンツェの街並みを眼下に、パノラミックに眺めながら、感動的な美食を満喫し、優れたサービスに癒される…こうした上質な休暇で味わう‘時の流れ’こそ、フィエゾーレに向かう最大の歓びではないでしょうか。

 

(文・写真/せきねきょうこ)

 

 

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、現在、新刊出版を準備中。

http://www.kyokosekine.com

 

 

BELMOND VILLA SAN MICHELE

Belmond Villa San Michele、Via Doccia 4
50014 Fiesole、Fiesole、Italy

問い合わせ:Japan /Tel (toll-free): 0120 229 800

https://www.belmond.com/ja/collection/hotels/villa_san_michele

 

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