せきねきょうこの気まま旅
[第18回]サンタニ・ウェルネス・リゾート&スパ ~スリランカ~
アーユルヴェーダと紅茶の故郷に、究極のミニマリズム誕生
インド洋に浮かぶ小さな島、スリランカ。未だ神秘的な場所が残るアジア屈指の美しい国として知られ、国名の意味は「光り輝く島」と言います。数々の神秘的な観光地を含みユネスコ世界自然遺産や文化遺産も多くありますが、なんといっても有名なのは、「セイロン紅茶」の故郷であること、そしてアーユルヴェーダの伝統民間療法が根付いている国ということでしょう。
政情も現在は安定し、旅をするのに充分な観光地が整う国として、特にヨーロッパからの観光客で賑わっています。そういえば、英国人でありながら、スリランカを愛し、スリランカで生涯を閉じた偉大な建築家ジェフリー・バワをご存じでしょうか。リゾートホテル「アマン」を創造したエイドリアン・ゼッカも影響を受けたと言われるバワの作品のうち、傑作と言われる「ジェットウィング・ライトハウス」があるのもスリランカです。プールの水面ぎりぎりにインド洋を見渡せる、所謂、インフィニティプールを設計した先駆け的存在でもあるのです。
そんなスリランカですが、ここにご紹介する「サンタニ・ウェルネス・リゾート&スパ」は、旧首都コロンボのバンダラナイケ国際空港から山道を上り下りして約4時間半。最寄りの町は、ユネスコ世界文化遺産の古都キャンディです。町の中心からは車で1時間半、どこからも遠い場所ですが、景色は素晴らしく、フンナスギリヤ山塊、ユネスコ世界遺産のナックルズ保護森林などが見渡せる絶景の場所に建っています。周囲にはお茶畑もあり、ここに滞在するとフレッシュな紅茶もいただけます。
部屋数は20棟のシャレー型で、いずれの棟もスタイリッシュな造りになっており、こんな山奥に、ミニマリズムの5ツ星リゾートが建っているなど驚きでした。驚きはスタッフにもありました。若くてややスノビッシュ、都会的で洒落たスタッフたちが集まっているのです。もてなしは、‘サンタニ流’とでも言いましょうか。一般的なホテルやリゾート、特にスリランカのリゾートの人たちとは異なり最初は戸惑いました。
コンセプトは、前述のように「ミニマリズム」です。客室内も、アートや調度品などはなく、デコレーションは何もありません。ただベッドや小さな戸棚、シャワー、そしてトイレが揃うだけでした。もともと涼しい山奥ですので、エアコンもありませんが、暑い!というゲストからのクレームはないと言います。
またレストランにはメニューがなく、ひとり一人の体調や好みに応じてシェフが調理してくれるため、その都度、シェフと話をすることから始まります。食べたい希望を言えば、敷地内生産のオーガニックな野菜や、安全安心な食材で、可能な限り希望を聞いてくれます。
リゾートの開業は2016年でした。敷地面積約20万㎡という山を含む誇大な土地に、558㎡の自然派スパも造られているます。スパも同様にミニマリズムのデザインで、アーユルヴェーダのドクターが常駐し、ひとり一人の健康状態を見て、ハーバルオイルのトリートメントを決めてもらうのです。独特なサービスレベル、特徴のある料理、個性派のスパなどから、すでに世界的にも高い評価を受けているユニークなリゾートでした。
文/せきねきょうこ
Photo:Santani Wellness Resort & Spa
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、現在、新刊出版を準備中。
Santani Wellness Resort & Spa
Arantenna Estate 00013
Werapitiya, Kandy Sri Lanka.
TEL: +94-81-222-8000
客室数/20棟
施設/レストラン、バー、ライブラリィ、ラウンジ、スパ、ボールルーム、プール、庭園、他
アクセス/(コロンボ)バンダラナイケ国際空港から車で4時間半
連絡先/直接ホテルへ(予約)+94-11-255-9755、
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