丸の内スペシャル行ってみたいデザイン空間
[丸の内スペシャル]
東京駅丸の内駅舎の美術館
東京ステーションギャラリー
日本の玄関口、東京駅丸の内駅舎北ドーム
重要文化財の中にある赤レンガ壁の展示空間
東京駅丸の内駅舎の創建は1914(大正3)年。明治・大正を代表する建築家・辰野金吾の設計による。レンガ壁の建築は関東大震災ではほぼ無傷で乗り切ったものの、第二次世界大戦の東京大空襲でドーム屋根と3階部分を焼失。
2012年には5年半に及ぶ保存・復原工事を経て、東京駅丸の内駅舎が創建当時の姿になりオープンしたことは記憶に新しい。東京ステーションギャラリーは復原工事前の1988年からオープンしていたが、工事に伴い一時休館。駅舎内で場所を移動し、2012年秋に再スタートを切った。
ギャラリーの展示室は、2階と3階に分かれている構成。1階のエントランスから入って3階へとアプローチする。復原された3階は、白い壁・天井の現代的な空間だ。天井高のある八角形のスペースも展示空間として利用されていて、変化に富んでいる。
3階展示室から2階へは階段で。ここでは、創建当時の構造用レンガ(建物を支えるレンガ)を間近に見ることができる。レンガ壁の表面には凹凸がある。これは、もともとレンガの表面には漆喰が塗られていて、漆喰の食いつきをよくするためにレンガの表面を削っていたため。復原工事では漆喰を剥がし、レンガ壁を露出したのだ。
ところどころにある黒い部分は、「木レンガ」という部材。レンガ壁に腰壁などをネジや釘で留めるためにはめられていた木が、東京大空襲で焼けて黒くなったもの。レンガ壁の荒々しい表情からは、日本の中心で激動の時代を経てきた重みが伝わってくる。
2階の展示室。赤レンガの壁が回廊のように続き、100年前にタイムスリップした感じだ。
2階の展示室。作品展示する壁面の間にも、赤レンガが見えるのが印象的。
1階の受付。古い赤レンガと現代デザインが交錯する空間。
(左)美術館の随所に見える赤レンガ壁。(中)黒い部分は、漆喰が塗られたレンガ壁に腰壁等を固定するために、そのネジやクギを受ける素材になった木製レンガ。1945年の空襲で焼けて炭化した。(右)レンガの間に見える建物を支える鉄骨は、約3100トンも使われた。
東京駅丸の内駅舎の北ドームにある東京ステーションギャラリー。ドーム3・4階と天井は、創建当時に復原され、約2.4mの大きさの鷲の彫刻などの造形が見事に甦っている(左)。