丸の内スペシャルデザインインフォメーション

2015.01.05
坂本眞一  『孤高の人』より(原画) 2010年 作家蔵 ©坂本眞一/集英社

坂本眞一  『孤高の人』より(原画) 2010年 作家蔵 (C)坂本眞一/集英社

 

関東大震災、東京大空襲、東海道新幹線の開通

東京駅を通して知る日本の近代史

 

本展覧会では、関東大震災や東京大空襲、世界初の高速鉄道である東海道新幹線の開通、東京オリンピックなど日本の近代史と東京駅の深い関わりを資料や作品から体系的に展示している。

 

なかでも興味深かったのは、時間の流れや地下の構造という目に見えないものを可視化したプロローグのふたつの展示物だ。

 

ひとつは、東京駅周辺の変遷を俯瞰しながら比較できる3つのジオラマだ。異なる時代の東京駅から丸の内の一角の様子を同じスケールで再現していて、丸の内が東京駅を中心に発展した街であることがよくわかる。

 

切り取った年代は、東京駅が開業した1914年、開業から50年目であり東京オリンピックが開催された1964年、そして100周年を迎えた2014年。

 

まず、開業時の東京駅周辺にはほとんど建物がなかったことに驚いた。50年後は近代的な中層ビルに囲まれた町並みとなっているのだが、ジオラマを見る限りじつにバランスが取れていて美しい。100年経った現在は高層ビル群のあいだに埋もれるように駅舎があって、残念ながら少々不細工だ。

 

もうひとつは、東京駅構内の地下に広がる立体構造をトレースした模型を天井から吊るした展示。平面図では把握しにくく、外から見ることもできないアリの巣のような複雑な構造の東京駅が視覚的にわかるのだ。

 

創建時の煉瓦の壁を活かした展示室には、昔のポストカードや写真集、新聞や雑誌の記事などと並んで建築に使われた部材や復原工事のときに発見された創建当時の建築装飾の一部も展示されている。

 

この機会に東京駅の歴史とともに、丸の内の100年、日本の100年を振り返ってみてはいかがだろう。

 

(文・久保加緒里)

 

恩地孝四郎 《東京駅》 〈新東京百景〉より 1931年 東京都現代美術館蔵

恩地孝四郎 《東京駅》 〈新東京百景〉より
1931年 東京都現代美術館蔵

山川秀峰 《東京駅と美人》 1942年 鉄道博物館蔵

山川秀峰 《東京駅と美人》 1942年 鉄道博物館蔵

 

 

松本竣介 《駅の裏》 1942年 三重県立美術館蔵
松本竣介 《駅の裏》 1942年 三重県立美術館蔵

 

林唯一 《少年帝都復興双六》『日本少年』第19巻1号より 1924年 東京ステーションギャラリー蔵

林唯一 《少年帝都復興双六》『日本少年』第19巻1号より 1924年 東京ステーションギャラリー蔵

 

東京駅100年の記憶

会場:東京ステーションギャラリー

東京都千代田区丸の内1−9−1

会期:2014年12月13日(土)~2015年3月1日(日)

開館時間:10:00~18:00(金曜日は~20:00、入館は閉館30分前まで)

休館日:月曜日(1月12日は開館、1月13日休館)

入館料:一般900円、高校・大学生700円、中学生以下無料

※20名以上の団体は100円引

※障害者手帳等を持参の方は100円引、その介添者1名は無料

問い合わせ:03-3212-2485

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

 

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