DRINK MODE
星付きレストランも絶賛する
仏・ルーション地方のワインに親しむ
Photograph by Wataru MUKAI
Text by Fukuko HAMADA
自然栽培された個性的なブドウから
バリエーション豊かなワインが造られる
フランス南西部に位置し、ピレネー山脈と地中海に接する、ルーション地方。この地では、晴天の年平均日数が325日という地中海性の温暖な気候を背景に、古くからワイン造りが行われてきました。そのため、樹齢100年を超すブドウも多くみられるといいます。
また、風が強く乾燥した気候風土により、ブドウの木が病気にかかりにくく、オーガニックやバイオダイナミックなどの自然農法を導入する生産者が多いのも特徴です。夏と冬の寒暖差が大きく、ピレネーのふたつの地層がぶつかってできた土地でもあるため、場所によって土壌が異なり、栽培されているブドウ品種もでき上がるワインの風味もさまざま。
そんなルーション地方で育つブドウ品種は、スペインからこの地に伝わり、今では世界的な広がりを見せる赤ワイン品種のグルナッシュを始め、グルナッシュでも特に果皮色が薄く、南仏で多く栽培されているグルナッシュブラン、ラングドックやプロヴァンスなど南仏全般で広く栽培されている赤ワイン品種、カリニャン、ほかにもシラーやシャルドネなど、多種多様で、それも魅力のひとつとなっています。
さらに近年では、情熱的な造り手が続々とルーション地方に進出、それぞれが味わいの異なる個性豊かなワインをリリースし、話題になっています。フランスの農業製品につけられる認証、AOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ※)の縛りがなく、造り手が自分の思い描くワインをのびのびと造っていることが、その味わいからも伝わってきます。
こうしたルーション産ワインの実力ですが、今やフランス国内では、コストパフォーマンスに優れたファッショナブルなワインとして、ボルドーやブルゴーニュを凌ぐほどの人気だそう。ルーションのどこのワイナリー、どの造り手のワインなのかが話題になることも多く、ワイン好きにこそ愛されているワインと言えます。まずは、注目すべき作り手をご紹介します。
※ワインに関しては、生産地だけでなく、ブドウ品種、栽培法、醸造法、最低アルコール度数ほかの規制がある