DRINK MODE
美食の地・アルザスで造られる
個性豊かな実力派ワインを味わう
Photo by Fumitaka NAKAMURA
Text by Fukuko HAMADA
アルザスのワインと料理は、
お互いを引き立てあう存在
日差しは春を感じながらも、日が暮れると冷たい風が吹いて、夜には煮込み料理やシチューで暖を取りながら、ほっとしたいこの頃。でも、そういった濃厚なお料理のおともに、フルボディのワインだと、ちょっと重いかな・・・と、感じる季節でもあります。そんなときには、酸がしっかり感じられ、繊細ながらも少々重めのお料理を引き立て、春先にも味わい深い、フランス・アルザス地方のワインがぴったりです。
アルザス地方は、フランス北東部、ドイツとの国境近くに位置しています。地理的にも、歴史的にもドイツの影響を受けているエリアです。フランスを代表する美食の地であり、フランスの中でも多くの星付きレストランがありますが、上質で個性豊かなワインを産み出すことでも国内外に知られています。日本でも、ワイン初心者から上級者まで、幅広いファン層に支持されている注目の産地です。
フランスとは思えない異国情緒漂う街並み。
栽培されているブドウ品種も、リースリングやゲヴェルツトラミネール、ミュスカなど、主にドイツで栽培されている白ワイン品種がほとんど。赤ワイン品種は1種類、ピノ・ノワールが栽培されています。
単一品種のワインは、フランスでは珍しく「アルザス リースリング」のように、地域名+品種名で表記されることが多く、複数の品種をブレンドして作られる白ワイン「エデルツヴィッカー」は、ワイナリーの個性が表れる地ワインとして愛飲されています。普段の食事との相性も抜群ですから、いろいろな蔵元を飲み比べ、自分の好みや、料理との相性を探る楽しみもあります。
一方で、瓶内二次発酵を行うなど、シャンパーニュとほぼ同じ製法で造られる発泡性ワインが、クレマン。フランスの7つの地方で造られ、そのうちのひとつが、アルザスです。上質ながら、シャンパーニュに比べてコストパフォーマンスに優れることもあり、この「クレマン ダルザス」の人気も、高まりつつあります。
この地のワインは、“美食ありき”と言えるほど、料理との相性がいいのが特徴です。東京でも、ジビエ料理やポトフなどと一緒に、アルザス産のワインを提供するビストロが増えてきました。
まだ寒さの残るこの季節は、ボリュームたっぷりのフォワグラと一緒に、あるいは、酢漬けのキャベツやソーセージ、豚肉などを煮込んだ温かな郷土料理「シュークルート」などと味わえば、アルザスワインの魅力を、より深く知ることができます。
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手間隙かけて育まれる
貴重なスパークリングワイン
ドメーヌ ユージェーヌ メイエーの「クレマン ダルザス ロゼ」は、アルザスでは貴重な、ピノ・ノワール100%で造られ、深みのあるサーモンピンクが美しい、艶っぽさ漂う1本です。
アルザスでも南に位置するベルゴルツ村で1620年に創業した同社は、家族経営でワインを造り続けています。また、フランスでいち早く、1969年にオーガニック農法を採用したことでも知られ、現在も、オーストリアの思想家である、ルドルフ・シュタイナーが提唱した自然生活哲学に基づくビオディナミ農法によってブドウを栽培。収穫は全て手積みされ、ブドウの表皮についている天然酵母を利用して醸造を行っています。
この「クレマン ダルザス ロゼ」をグラスに注げば、繊細な泡が立ち上り、口に含めば、甘い香りとともに、力強さも感じられます。後口は至極辛口で、泡好きにとっては堪らない味わい。食前酒はもちろんですが、やはり、アルザスの郷土料理と一緒に味わいたいワインです。しっかりとした味わいなので食後酒にしても。
ライン川に沿う丘の中腹に位置するブドウ畑は日射、水はけともに良好。わずか9ヘクタールの畑から採れる希少なブドウで造られる。
ドメーヌ ユージェーヌ メイエー
「クレマン ダルザス ロゼ」4,500円(750ml)
シャンパーニュ製法で造られた、ピノノワール100%のスパークリングワイン。赤い果実を感じさせる香り、ふくよかでしっかりとした骨格が感じられる辛口。その力強さを感じる味わいは、フォアグラの冷製と好相性。甘味を抑えたイチジクのジャムを添えて楽しみたい(COVER PHOTO)
問い合わせ先
オーガニックワイン専門店 マヴィ☎03-6826-4310