世界のデザイン空間

2012.06.28

戸建ての客室は竹富島の珊瑚石を積み上げたグック(石垣)で囲まれ、それらを白砂の路地がつないでいる。

 

 

ゆとりある庭付き1棟建ての客室で過ごし

竹富島の時間をゆったりと満喫する

 

すべての客室は「グック」に囲まれた庭付き1棟建て。

 

このグックは、家をつくるときに地中から出てくる珊瑚石を竹富島に伝わる手法で積み上げた石垣で、台風から家を守るもの。門の内側に立てられた「ヒンプン」という目隠しには、赤瓦の上にのせられたシーサーと同じように魔除けの意味もあるという。

 

客室は3タイプのなかから選ぶことができる。いずれも、南側の庭に面した開放的なフローリングのリビングと、奥まって壁に囲まれた寝室が特徴。畳はもちろん、正方形で目の細かい琉球畳。大きなバスタブが部屋の中央に置かれるタイプもあるなど、ゆったりと使いやすい水回りも快適性を高めている。

 

雨端(あめはじ)は強い日差しや雨風を遮り、深い軒下には日陰がつくられる。南北の窓を開け放てば、部屋のどこにいても心地よく通り抜けていく風を感じることができるだろう。

 

せっかくの離島での滞在、電子機器はシャットダウンして、五感で竹富島の空気とゆったりとした時の流れを味わいたい。

 

客室以外にも、集落の中央に位置し24時間泳げるプール、三線の音が心地よく響くラウンジ、月桃(げっとう)を使ったトリートメントが受けられるスパ、太平洋と集落を一望にできる見晴らし台など、竹富島を体感する施設はさまざま。

 

竹富島ならではの食材を活かした琉球フレンチも楽しみの一つだ。モノ作りの体験や、水牛車観光などのアクティビティも充実している。

 

沖縄の文化を満喫するという点で、これまでとはひと味もふた味も違う新感覚リゾート。ここで過ごす時間が、一生の思い出になることは間違いない。ぜひこの夏はじっくりと計画して訪れてみたい。

 

(文・加藤 純)

 

 

 

「ガジョーニ」と名付けられた客室。開放的なフローリングのリビングから自分だけの庭を楽しめる。

「ガジョーニ」には座面の広い特有のソファを設置。竹富島の心地よい風を感じられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ズーキ」と名付けられた客室。竹富島の民家を思わせる素朴なつくりだ。

「ズーキ」の床面に置かれた大きなバスタブ。外気を感じながら入浴できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャンギ」と名付けられた客室。部屋一面に敷き詰められた琉球畳が心地よい。

「キャンギ」は、寝室でもリビングでも部屋の行き来がしやすい独特の間取り。