世界のデザイン空間

2012.03.29

ソフィテル・ウィーン・シュテファンスドーム(オーストリア)

華麗な天井アートが異彩を放つ
ウィーンのランドマーク的ホテル

 

 

巨匠ジャン・ヌーベルが設計した

アート性を極めた最先端ホテル

 

世界で最も住みやすい街に選ばれたことのある芸術と文化の街、ハプスブルグ王国の古都ウィーンに、ソフィテル・ウィーン・シュテファンスドームが昨年末にオープン。

 

フランス建築界の巨匠、ジャン・ヌーベル設計による、高さ75m、18層の総ガラス張りの建物で、旧市街にあるウィーンのシンボル的なゴシック建築、シュテファン大聖堂とドナウ運河を挟んで対峙、対話をするかのような絶好な位置関係にある。

 

道路に面した側面は多少傾斜しているため、垂直と水平のラインが歪んで交錯いるかのような異彩を放ち、オープンから4ヵ月たった現在、すでにウィーンのランドマークとして定着しつつある。

 

ジャン・ヌーベルが起用したスイスの女性アーティスト、ピピロッティ・リスト(Pipilotti List)の光るルーフアートも、ホテルのキャラクターとして色を添えている。エントランスとロビー、5階のアトリウムと最上階のレストランに設置したブ ルーとオレンジ、グリーンを基色にして動物や植物をイメージして描いた天井パネルは、内部からの照射で発光し、周囲の照度に応じて空間全体をライブするか のように、このビルの芸術性を高めている。

 

 

 

 

 

 

朝食のビュッヘボード。ボックス内にあるためよりクリーンなイメージ。

 

 

 

 

 

 

 

 

5階のスパの外側の屋根は万華鏡スタイル。ミラーに反射した華やかさがカラフルに演出。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜には幻想的な雰囲気に包まれるナイトバー。

 

 

 

 

 

モノトーンによるミニマリズム的な空間に

独自のアイデアに満ちたゲストルーム

 

1階から5階までは、ビジネスセンターや会議などのパブリックスペースで、5階にはフィットネスセンターやスパ、トリートメントルームなどがある。

 

180室あるゲストルームは、白かグレーあるいは黒の3色に限定。建築家自身のデザインによる家具やベッド、収納やバスルームなどには、これまでのホテルインテリアに見られないモノトーンによるこだわりあるミニマリズム的な雰囲気を感じとれる。

 

また、ベッドからみる景観を顧客の好みに合わせて自由に窓のサイズを調節出来るようにしたスライドスクリーンの設置や、トイレとバスルームのセパレート設計など独自のアイデアがいっぱいだ。

 

最上階には、フレンチと地元料理のメニューを揃えたレストラン&バーLe Loftがある。高層ビルの少ないウィーンでは70mの高さからでも、尖塔が一本という大聖堂を中心とした、高さ規定された旧市街と広がりのある市街地を パノラマ的に一望できるのも魅力の一つだ。社交界の人気スポットとなっていて夜半(2時〉まで客席は賑わいを見せる。

 

一年のうちの大半を建築家ジャン・ヌーベルはホテルで暮らすという。超一流の建築家が機能面をベーシックに経験からして突き止め、このホテルで開花させたコンセプトには、時代を先取りするような斬新で強固な意志が感じられる。

夜には幻想的な雰囲気に包まれるナイトバー。

 

 

 

 

グレー基調の部屋。収納スペース、ソファ、壁面まで室内はグレーのモノトーン仕様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白基調の部屋。部屋からの眺望はゲストの好みでスライド式の窓でサイズを調整できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスターベッド越しに見るバスルーム。シャワーはセパレートに設計。