世界のデザイン空間
高さ100mの建物が9本並んで共有する超高層の「塔の村」
複数の塔が群れて立ち並んで調和
塔の隙間には谷状のスペースが連続する
首都、北京の大使館など駐在公館が集まるエリア、三里屯(さんりとん)。そうした地理的条件もあってか、以前から外国人客向けのバーが集中する歓楽街とし て知られていたが、他のエリア同様、オリンピックを機に大きく変貌を遂げ、今では巨大な商業コンプレックスが続々と誕生しつつある一大商業エリアとなって いる。その三里屯にある言わば”隈研吾建築ギャラリー”に新たに加わったのが、三里屯SOHOである。
三里屯SOHOの通りを隔てた北側には、ファッションモールの先輩である三里屯Villageがある。そのサウスコーナーとイベントホール、隣接している ブティックホテルのオポジットハウスは、すべて氏の設計になるものである。そしてその最新作が三里屯SOHOということになる。こちらも三里屯 Village同様に巨大な複合施設ではあるが、決定的に違うのはオフィスやレジデンシャルエリアを擁する高層ビルを擁することだろう。
隈研吾氏自身の言葉によれば、「群れて建ち並ぶ」これらのビルは、スクエアな高層ビル然としたそれではない。コーナーをもたず緩やかに連続する曲面が表面 を覆う、アメーバのように有機的な断面をもつ高さ100メートルの高層ビル9棟は、敷地内に整然とはいえないランダムさで建ち並んでいる。それを「超高層 の『村』のような風景」と建築家は表現した。