ライフスタイリスト
花と緑のある生活を実践していきたい
――そうした花と緑のあるライフスタイルを実践している井上さんの発想の原点はどこにあるのでしょうか。
「僕は自分なりに純粋に感じることが大切だと思っているんですね。考えてから感じるより、まず右脳を生かして直感的に何かを感じてみたい。たとえば部屋を見た時に何で花がないんだろうか? 都会の景色を見た時に何で緑がないんだろうか? と感じることで、その疑問を実践していく。カタチとして入るのではなく、感じたものをカタチにしていくというのが僕の発想の原点なんです。
食事に行く時も、今まで行ったことがない店に行ってみたいし、料理も今まで食べたことがないものを食べてみたい。1日にひとつ、生まれて初めてのことを体験して何かを感じてみたいんです。グルメ思考も感性を磨くことだし、そこに流れる音楽や、飾られている花、店内のインテリア、そこで着ている服など、すべてが揃わないといい時間って持てないですよね。いい時間を過ごすことが、僕の暮らしのデザインであって、それが僕の都会でのライフスタイルになっているのかもしれません」
――井上さんのライフスタイルで、仕事以上に夢中になっているのがトライアスロンだとか。
「週末にトライアスロンをやるのも、自分の暮らしをデザインしていることになると思っています。泳ぐことで水を感じ、走ることで大地を感じ、自転車に乗ることで風を感じ、そして緑や自然を全身で感じとることができる。僕がトライアスロンをやるのは、原始時代の人間に戻るように自分の本能を取り戻すことでもあるんです。
それは自分の感性を磨くことに役だっていることであり、都会でいつも自然を感じたいという気持ちを喚起することでもあるのです。つまり都会で花と緑のある生活を実践すること、それが僕のライフスタイルになっているんですね。たとえば自宅のローラーで自転車のトレーニングする時も、そばに緑があると気分的に違いますからね(笑)。そうした僕なりの感性を仕事でも人生にも生かしていきたいと思っています」
PROFILE
井上英明(いのうえひであき)
株式会社パーク・コーポレーション
代表取締役
1963年佐賀県生まれ。87年早稲田大学政治経済学部卒業後に渡米。ニューヨークにて大手会計事務所に入所。帰国後、1988年12月株式会社パーク・コーポレーションを設立。
89年よりフラワービジネスに参入し、1993年南青山に『Aoyama Flower Market』をオープン。その後、2003年にフラワースクール『hana-kichi』、06年にオンラインショップを開設。
2007年にはオフィス、商業施設等のグリーンのコーディネートや、メンテナンス、販売を手がける『Jungle COLLECTION』をオープン。2011年2月末現在で全国に76店を展開し、「Living With Flowers Everyday」をコンセプトに花や緑に囲まれた心ゆたかな生活を提案している。
趣味はトライアスロンで、2008年代官山にトライアスロンの普及を目指し株式会社『ATHLONIA』を設立、取締役就任。2006年第2回デザイン・エクセレント・カンパニー賞受賞、2007年に第1回フラワービジネス大賞を受賞、2009年にポーター賞を受賞している。