ライフスタイリスト

2014.08.27

食に関する情報発信に加え、
より多くの人のためにできることを実践

SUMAUの「LIFE」カテゴリースタート時から続く、人気コンテンツ「Season’s  Home Deli」にて、世界各国の料理をご紹介いただいている久須美光子さん。料理家としてのキャリアとそのライフスタイルについてお話を伺います。

 

留学先のシドニー出合った

食文化にインスパイアされて

 

――まずは、この道にはいったきっかけを教えてください。

 

大学を卒業後、OLや派遣社員として働いていたのですが、ちょうど仕事の契約期間が切れたタイミングで、少しリセットしたいな、と考えたんです。以前から一度は海外に住んでみたかったというのもありましたし、せっかくだから海外に出てみよう、と。留学先にオーストラリアのシドニーを選んだのは、海が好きだったのと、四季を感じられそうだったから。文化や芸術的な魅力を感じていたというのもありました。そしてそのシドニーで料理に開眼することになったんです。

 

――当初は、料理を学ぶための留学ではなかった?

 

そうです。もちろん、もとから料理は好きで、学生時代からフレンチや和食、中華など、いろいろなお料理教室に通った経験もありましたが、それより語学を勉強したり、向こうの文化に触れたい……という気持ちが強くあって、料理を学ぶためというわけではありませんでした。もっと気軽な感じです(笑)。

 

けれど、実際行ってみたら、向こうの人が普通に食べているものが、ともかくおいしくて……。今でこそ日本でも、ハーブやスパイス使いが一般的になりましたが、私が留学していた10年くらい前はまだまだ珍しく、たとえば、タジンのようなモロッコ料理とか、ケークサレのようなお惣菜ケーキといった料理も日本では知られていなかったんです。でもそうした料理を皆、ワイングラスを片手に、普通に楽しんでいるんです。それで、このスタイルはきっと日本人にも合う! と直感。そこで、昼は語学の学校に通い、夜は地元の人が通う料理学校で学ぶことにしたんです。

 

シドニーの料理教室で知り合った友人たち。ここでの経験が料理家としてのベースを作った。

シドニーの料理教室で知り合った友人たち。

ここでの経験が料理家としてのベースを作った。

 

――あえて、地元の人が行く料理学校を選んだのは?

 

日本とは違うスタイルで料理を学びたかった、というのもあります。私が通っていた学校は、先生があらかじめいつくかのメニューを用意し、そこからグループごとに作りたいメニューを選び、次回、食材を持ち寄ってレシピに沿って自作する、というシステム。日本では先生が見本を見せてそれぞれ教える、という上下関係がしっかりした教えかたが一般的だと思うのですが、向こうでは先生はあくまでアドバイザー。生徒たちの自主性第一で、おしゃべりしながら料理するという、すごくリラックスした雰囲気でしたから、それが印象的で楽しかったんですね。結局、シドニーにいた1年半の間、何クールもその教室に通い、仲間といっしょに、ごはん会やワインパーティなどを楽しみました。そして帰国後、この学んだ経験を日本で生かしたいと思い、今でいう少人数のサロンスタイルで、お料理を教えることにしたんです。

 

シドニーの高校生たちに、日本料理を教える“課外授業”に挑戦したことも。

シドニーの高校生たちに、日本料理を教える“課外授業”に挑戦したことも。