ライフスタイリスト

2012.06.01
モノからコト、ストーリーへの流れで

ライフスタイルの場を提供していきたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そのライフスタイルを提供するビジネスについて、楠本さんはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

 

「今、ライフスタイルとして提供しなければならない価値が、モノからコトに移り、そしてストーリーに移ったと思うんですね。この文脈の流れがライフスタイルということではないでしょうか。そしてライフスタイルが、そのまま生き方ということになる。ライフスタイル・ビジネスとは、ライフスタイルを提案するビジネスではなくて、その場を提供することだと思っています。ライフスタイルが近い者同士が、お互いに学び合って情報を交換できる場をつくっていく。これがライフスタイル・ビジネスではないかと思っています」

 

 

――これからも都市(東京)は、次々と変化し続けていくわけですが、今後の展開など教えてください。

 

「僕自身、“Think Global Respect Local”をキーワードとして捉えているのですが、しっかり世間(Global)を考え、周辺の地域性(Local)をもう一度リスペクトして、しっかり見ることが大切だと思っています。このキーワードに付随して“100 MILE CAFE PROJECT”も標榜しています。100マイル(約160キロ)という距離は電車や車を使って3時間で行ける距離でもあり、都市生活者と地域生産者が直接出会ってコミュニケーションできる生活文化圏でもあります。東京を中心にして半径100マイルを舞台にして、豊かな生活文化探求の運動をしていきたい。日本をカフェ感覚、コミュニティ感覚でもっと元気にしていきたいと考えています」

 

 

 

日本をカフェ感覚で

もっと元気にしていきたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――最後に都会でのライフスタイルを考えていらっしゃる楠本さんですが、これからどんな家が求められると思いますか。

 

「集合住宅を駅から徒歩何分とかいう機能で選ぶのではなく、自分はこういう住まい方をしたいというような人たちが集まる家が求められると思います。読書好きだったらライブラリーが共用スペースとしてあったり、スポーツ好きだったらトレーニングジムがあったりとか。つまり趣味・趣向でつながり、ライフスタイルを共有できるようなコミュニティとしての家ですね。また、農業に興味がある人のために郊外の農場と契約していて、週末は入居者の権利として野菜づくりを楽しめるような付加価値もあったらいいと思います。つまり、衣食住が全部連動することで、そのマンションが資産と価値も高まっていく。これは海外でも通用する考えで、グローバルに広がっていく気がします。これもライフスタイル・ビジネスの一つかもしれませんね。自分自身としてはまったく個人的な理由になりますが、今トライアスロンにハマっているので、水泳の練習ができるような25mプールのある家に住んでみたいですね(笑)」

 

 

 

PROFILE

楠本修二郎(くすもとしゅうじろう)

カフェ・カンパニー株式会社代表取締役社長

1964年、福岡生まれ。1988年、早稲田大学政経学部卒業後、ルクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。1993年、大前研一(マッキンゼージャパン会長)事務所勤務し戦略的な思考を学ぶ。1994年、平成維新の会事務局長。1995年、マーシーズ取締役副社長に就任。1999年、スタイルディベロップメント株式会社を設立。2001年、コミュニティ・アンド・ストアーズ株式会社(現カフェ・カンパニー)を設立し、代表取締役社長に就任、現在にいたる。トライアスロンに熱中し、プライベートでトレーニングを続けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

COMPANY PROFILE

カフェ・カンパニー株式会社

カフェ・チェーンの経営や、空間プロデュース、設計企画などを手がける。2001年創業。この年に、東急東横線・渋谷駅高架下に「Shibuya Underpass Society(SUS)」をオープン。その後「WIRED CAFE」、「RESPEKT」や、東京都民銀行とコラボレーションした「TOKYO PEOPLE’S CAFE」、丸の内・東京ビル「TOKIA」の「Planet3rd 」、「食堂居酒屋 どいちゃん」など、次々と「食」をテーマにした新たな業態開発に取り組んでいる。現在、東京を中心に計44店舗(海外1店舗)を展開。

http://www.cafecompany.co.jp/