アーティストインタビュー

2012.08.13

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PITACORO/オブジェになるマグネット

ピタコロは7色のマグネット。道具としての機能だけでなく、インテリアとして飾ることができる。色の原料である顔料が石のような形をしていることからこの形が生まれた。富山プロダクトデザインコンペティション、グランプリ受賞(2009)。

 

 

 

 

単に道具として機能するのではなく、インテリアとして飾ることで成立する道具の提案である。

 

 

 

――「ナチュラル・エレメント」は、家具や生活雑貨のためのデザインなのに、実用性が高いのにも驚かされました。

 

プロダクトデザインとは、基本的には道具であるべきだと考えています。実際に使えるものを基本としながらも、私のデザインはそこからさらに、積極的に飾ることを強く意識してデザインしています。

 

たとえばスチールをレーザーでカットして作った「LOUNGE POT(ラウンジポット)」は、捨てようと思っていた日常的なグラスや湯飲みなどを、この中に入れることで、フラワーベースとしてリユースすることができます。

 

同じレーザーカットしたスチール製の「香る箱」も、お香スタンドとお香ケースを一体にした、心身をリラックスさせるための箱です。通常のお香スタンドは、あくまでお香を立てるという概念でしかありませんが、箱形にすることで香りを演出することを可能にして、精神的価値を創出できればと思っています。

 

また「PITACORO」は、色を「遊び」「使い」「飾る」をコンセプトとしたマグネットです。多彩な色がパレットの上で混ざり合うことと、マグネットの結合する特質をつなげたものです。道具を使うことだけではなく、生活環境の中で自由に色を飾り、遊ぶことで新たな価値を創出します。

 

色(顔料)の原料は石であるように、石は道具の原点であり、この概念がマグネットとしてかつてない表情豊かな、自然の石コロのような多面体をかたちづくる基盤となりました。単に道具として機能するだけでなく、飾ることを常に意識した提案が私のデザインの特徴です。これを最初に強く意識したデザインが、「hanger light]です。これは「ナチュラル・エレメント」のシリーズ外なのですが、ある種、私のデザインを特徴づける原点になります。

 

「hanger light」は、身近な段差に引っ掛けることで積極的に見せて置ける、手軽さと利便性に長けた懐中電灯の提案です。部屋の雰囲気を損ねてしまう外観では置き場所に困り、つい目につかないところに置いてしまう。それではいざ必要なときに、すぐ手に取ることが難しい。「hanger light」は懐中電灯の「使う」「照らす」といった機能だけでなく、インテリアとして「飾る」といった概念を新たに付加し生まれた形です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LOUNGE POT/フラワーベース

使わなくなった日常的なグラスや湯飲みなどをこのポットにいれると、フラワーベースとしてリユースできる。

 

 

 

 

 

 

 

香る箱/お香の煙を演出し、お香をしまう箱

お香スタンドとお香ケースを一体にした、心身をリラックスさせる箱。箱形という奥行きを与えることで香りを演出。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ANT Nest/一筆書きのようなハンガー

アリの巣のように見えるコートハンガーは、一筆書きの平たい構造。小スペースでも対応でき、タオルハンガーとしても使用できる。

何も掛っていないときは、絵画のように存在する