アーティストインタビュー

2014.06.30
埼玉県深谷市のコミュニティスペース「深谷ベース」では、ガーデンデザイナーの矢野TEAとともに企画から携わり設計を担当した。コンテナを使用することで簡単に移動できるのが最大の特徴。開放的な空間では、さまざまな使い方ができる。ミニキッチンを備えたキッチンラボでは試食会もできる(左下)。美しいガーデンデザインは矢野TEAと、深谷のガーデナーがつくりあげた(右下)。

埼玉県深谷市のコミュニティスペース「深谷ベース」では、ガーデンデザイナーの矢野TEAとともに企画から携わり設計を担当した。コンテナを使用することで簡単に移動できるのが最大の特徴。開放的な空間では、さまざまな使い方ができる。ミニキッチンを備えたキッチンラボでは試食会もできる(左下)。美しいガーデンデザインは矢野TEAと、深谷のガーデナーがつくりあげた(右下)。

 

 

企画から設計まで関わった「深谷ベース」

コンテナを活用して人が集まる「場」を提供した

 

――2013年10月にオープンした埼玉県深谷市のコミュニティスペース「深谷ベース」では、企画から設計まで関わられたそうですね。

 

深谷では中仙道拡張のための区画整理がはじまっていて、空き地が点在しているんです。道路ができるまで更地のままにしておくのはもったいない、なにか活用できないか、というところから生まれたプロジェクトでした。

 

道路用地には建物を建てることができません。しかし、コンテナを活用した公共施設なら法律上も問題がなく、人が集まる「場」を提供できると考えました。アーバンスタイル研究所として、矢野TEAとともに企画の段階から携わらせていただき、設計を担当しました。

 

深谷ベースの最大の特徴は、移動可能な基礎のうえにコンテナを設置していること。簡単に移動できるので、区画整理の進行にあわせてそのまま別な空き地に移設して、事業を続けることができます。移動する際に基礎などの廃棄物を出しません。

 

また、植栽の花壇やワーキングラボのステップなどは、建設地を整地したときに出てきた建築廃材の「ガラ」を使っています。

 

深谷はわたしの地元でもあるので、一時的な空白地を活用することで賑わってくれたらいいな、と思ってプロジェクトに参加しました。今後は、このコンテナユニットを、短期間のイベントや、災害時支援などにも広く活用してもらえるようになったらうれしいですね。

 

(文・久保加緒里、撮影・川野結李歌)

 

「風彩」。風で音が生まれるのは風鈴。これは、風で色が生まれるアート作品。

「風彩」。風で音が生まれるのは風鈴。これは、風で色が生まれるアート作品。

 

「光学フィルムを使った空間演出には、まだまだ大きな可能性があると感じています」

「光学フィルムを使った空間演出には、まだまだ大きな可能性があると感じています」

 

「流動的領域」展。人が移動することで、見え方がガラッと変わっていく。

「流動的領域」展。人が移動することで、見え方がガラッと変わっていく。

 

(左)「空飛ぶ金魚」。実際にはない黒い面を水面に見立て、その上(空)を金魚が飛んだり、水面にもぐったりする作品。(右)「日中花鳥風月」。上海での常設展示。色が変化するオブジェ。

(左)「空飛ぶ金魚」。実際にはない黒い面を水面に見立て、その上(空)を金魚が飛んだり、水面にもぐったりする作品。(右)「日中花鳥風月」。上海での常設展示。色が変化するオブジェ。

 

 

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ハヤマカオリ/視覚空間アーティスト・一級建築士

2004年、東京藝術大学大学院修了。

『建築批評2003』(西田書店)共著。宇宙ステーション微小重力環境における藝術表現の未来『スペース”間-MA”プロジェクト』NASDA(現JAXA)と共同研究。『over there』東京芸術大学美術館。『Wall Through』感覚ミュージアム(六角鬼丈設計/宮城県)常設展示。『流動的領域』展BankART1929Yokohama(デザイナー渡辺仙一郎との二人展)。

2010年、『パテントソリューション』展 東京ビッグサイト。ジャパンバードハウスコンテスト審査委員長。

2011年、大阪国際女子マラソンスポンサーブースデザイン。『KAITEKIのかたち』展 青山スパイラル。

2012年、中国上海ショールーム常設オブジェ。

2013年、埼玉県深谷市のコミュニティスペース『深谷ベース』の企画から設計を行う。「THE世界一展」 日東電工(グランフロント大阪)、日本科学未来館。

ハヤマ建築設計事務所

https://www.facebook.com/kaorihayama

アーバンスタイル研究所

http://urban-style.jp/