アーティストインタビュー
華やかで、自由で、シンプルで、美しくて、楽しい
そんな「花のある暮らし」を発信していきたい
――ローランさんが名前をつけた品種もあるとうかがいました。
生産者さんを訪ねる機会も多く、開発段階から花を見せていただくこともたびたびあります。たとえば、今回の作品にも使った「ジャルダン・パフュメ」。静岡県三島にある市川バラ園さんが生み出した品種です。
とても香りが高いので、フランス語で「香りの庭」と名づけました。日本にたくさんいらっしゃる優秀な生産者さんと花を愛する人をつなぐこと。それも私の仕事のひとつだと思っています。
わたしのイメージの核にはバラがあります。なかでも「香るバラ」は、私の好きな素材のひとつなんです。香るバラとの組み合わせで、香りのたったハーブのミントやゼラニウムを使うことも多いですね。みなさんも、視覚だけでなく嗅覚でも花を楽しんでほしいと思っています。
――ブーケニストとして作品を生み出しながら、教室も主宰していらっしゃいます。
もともとは「EFP(イル・ド・フランスフローリスト組合、パリフローリスト養成学校)」の講師として派遣されたことが、日本に来るきっかけになりました。
日本語はまったくできませんでしたが、生活環境も花を取り巻く文化もパリとはまったくちがう日本への興味はすぐに湧いてきました。
日本人はとても真面目ですね。フランスではスタイルを学ぶために短い期間だけ教室に通う人が多いけれど、日本にはスタイルも技術も習得しようとする方が大勢いる。
趣味に対しても「学ぶ」という姿勢を持っているのは、すばらしいことだと思います。教室には大阪から通って来られる方もいらっしゃるんですよ。
――今後の活動について教えてください。
今年の10月に、田園調布にアトリエを移しました。田園調布は緑が多くて、静かで、ホッとできる街。故郷のパリ郊外ヌイイにも通じるところがあります。
現在は、レッスンの日以外は、花に関連するさまざまなものを探したりつくったりしています。家具や花器を自作することも多いんですよ。
アトリエは、フラワーデザイナーとして創作活動をする場であり、多くの方にブーケやアレンジメントを楽しんでいただくための場でもあります。
この田園調布のアトリエを拠点に、華やかで、自由で、シンプルで、美しくて、楽しい。そんな「花のある暮らし」を発信していきたいと思っています。
(文・久保加緒里、写真・川野結李歌)
ローラン・ボーニッシュ Laurent Borniche/フラワーデザイナー
フランス・パリ・ブーローニュの森に隣接する高級住宅街ヌイイ市に100年近い歴史を持つ花店の4代目として生まれる。16歳からフローリストの道を歩み始め、20歳で仏フローリスト国家資格BP(フランス文部省認定フローリスト職業教育上級免状)を取得。
1998年、EFP(イル・ド・フランスフローリスト組合・パリフローリスト養成学校)派遣講師として来日。デザイナーとして企業PR装飾、撮影装花やイベントパフォーマンス、レッスンを通し、日本でフレンチスタイルとフランス花文化の伝承に貢献する。
2014年10月、ローランベーブーケティエ設立。東京・田園調布にフラワースクール、フラワーデザインアトリエをオープン。自ら内装デザイン、施工する。ブーケティエとは、フランス語で〝ブーケの作り手、職人〟を意味する。また、著作「ローラン・ボーニッシュのブーケレッスン」(誠文堂新光社)を2014年5月に発行した。
ローランベーブーケティエ
住所:東京都大田区田園調布3-4-5-1F
電話:03-5755-5683
https://www.facebook.com/lb.bouquetier