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2018.02.21

表情も仕草も豊かになって、本当の犬みたい!
新「aibo(アイボ)」で始まるペットライフ

ペットロボットの草分けといえば、ソニーが開発し、1999年から2006年まで販売していた「AIBO(アイボ)」。12年のブランクを経て、あの愛らしい犬型ペットロボットが帰ってきた。しかもAI(人工知能)時代にふさわしい大きな進化を遂げて。「aibo」と小文字で表記される新型は、いったいどんなペットロボットになったのか。開発者のコメントを交えてご紹介しよう。

 

誰もが復活を待望していた

伝説のペットロボット

 

身近なロボットというと、今は多くの人が部屋の中を自動で掃除してくれるロボット掃除機を頭に思い浮かべるはず。でも「ロボット」といえば誰もがペットロボットを思い浮かべた時代があった。今から20年ほど前、西暦2000年頃だ。

 

そのロボットブームの主役が、ソニーが1999年6月から発売した世界初の家庭用エンターテインメントロボット「AIBO(アイボ)」だった。イラストレーターの空山基氏がデザインした初代ERS-110から5代目のERS-7まで、7年間の間に累計15万台が販売された。ソニーは2000年に2足歩行ができる人型の「QRIO(キュリオ)」のプロトタイプも公開。「いよいよロボットが家族になる時代が来た!」と当時思った人は多かったはず。

 

1999年6月に発売された初代AIBO。価格は250,000円(税抜)。20分で3000体が即完売した。

 

初代モデルから自律して動き、感情を持ち、飼い主とのコミュニケーションの中で学習しながら成長する。期待通りに動かないこともあって、何よりもそれが新鮮だった。目の光で喜びや悲しみを表現する。専用のピンクのボールを認識して追いかけて蹴るなどの機能もあった。そして新モデルごとに、また専用のソフトウエアでその機能は進化した。内蔵のカメラで写真を撮ってくれる。無線LANを使ってパソコンと通信設定をしておけば、新着メールを教えてくれる。人間と会話する。バッテリーが少なくなると自分で充電器に戻る。そんなこともできた。

 

ところが残念なことに、業績不振でソニーのロボット開発プロジェクトは解散。2006年を最後にAIBOは店頭から姿を消してしまう。二足歩行のQRIOも発売されることはなく、ペットロボットブームは終息した。とはいえ販売終了後、そして修理サービスの終了後も現在までAIBOを大切に可愛がっている「飼い主」たちが現在も少なからずいる。それほど魅力あるペットロボットだった。

 

12年間の進化を詰め込んで

より「犬」らしく愛くるしく!

 

 

12年ぶりに「aibo」という小文字表記になって登場した新型aibo(モデル名:ERS-1000)。大文字表記の昔のAIBOとの最大の違いは「ぐっと犬らしく」「愛くるしく」なったこと。AIBOは旧型も誰が見ても犬がモチーフのデザインだったが、ソニーは「犬型」という言葉を使わなかった。しかしaiboのプレスリリースには「犬型のエンタテイメントロボット」とハッキリ書かれている。

 

このaiboの姿と動きを初めて見て、まず感じるのはAIBOとは次元の違う「犬らしさ」「生き物らしさ」だ。AIBOはデザインもロボットらしく、動きにもロボットらしい“ぎこちなさ”があり、それが魅力でもあった。でも新しいaiboはとても犬らしい外観で、わずかなモーター音はあるものの、流れるように滑らかな動きで、生き物のように思える。これにはAIBOを良く知っていた人なら、かなりな驚きのはず。これは身体を動かすアクチュエーターが旧型よりも2つ増えて22軸にしたことで実現できたと開発陣はコメントしている。また鳴き声も犬らしい。

 

 

そして「愛らしさ」を何よりも感じさせるのが、有機ELディスプレイを採用する、豊かな表現力を備えた「目」だ。まばたきしてクルクルと変わる。その表情の豊かさ、生き物感は、これまでのAIBOにはなかったもの。かつて雑誌でAIBO特集を企画・編集した筆者がaiboでいちばん驚いた、感心したのはこの部分。この「目」から生まれるAIBOよりも格段にキュートな表情、豊かな感情表現が、AIBOからaiboへのいちばんの進化と言っていいだろう。

 

常時ネットワーク接続による

クラウド連携で「成長」も多彩に

 

 

もちろん、最新のAI(人工知能)技術から生まれた最新機種だけに他のハードウエア&ソフトウエアも飛躍的に進化している。魚眼レンズのカメラユニットを2つ内蔵し、近くにいる人が誰かを見分けて行動パターンを変える。部屋の空間を認識してマッピングを行うので、障害物を避ける能力もAIBOより格段に向上した。バッテリーが少なくなるともちろん、チャージステーションに自分で戻る。4つのマイクを内蔵して、声がする方向を割り出してそちらを向く、音声認識機能で人の言葉を「理解」する、そんなこともできる。

 

そしてロボットとしていちばんの違いであり進化は、本体にSIMカードを搭載し携帯電話と同じLTEネットワークを使う「aibo専用モバイル通信サービス」やWi-Fiの無線LANを使って、aiboが専用サーバーに常時接続した状態になっていること。毎日休みなく成長を続けるaiboのデータ、そして「aibo写真撮って!」と話しかけた時に撮影してくれた写真のデータは、常に専用サーバーにアップロードされている。このネットワークシステムのおかげで、aibo本体も常に最新のシステムにアップデートされる。さらにスマートフォンやパソコンで、写真を眺める、名前を付ける、さらにさまざまなコミュニケーションも楽しむことができる。また他のaiboユーザーが教えたふるまいを身に付けたり・・AIBOとは異次元の進化が保証されているのだ。

 

スマートフォンの専用ソフトなら、aiboの声の大きさを変える、aiboと遊ぶ、aiboが撮ってくれた写真を見ることも簡単にできる。

 

aiboの飼い主になるには

まずオフィシャルサイトにアクセス

 

aiboはソニーオンラインストアだけの限定販売。2018年1月11日に発売が始まったが、あっという間に予定台数が完売した。現在予定されている次の販売は3月6日午後7時から。

 

もしあなたが、飼い主になりたい! と思ったら、まずはaiboのオフィシャルサイトにアクセスしよう。そして実物と触れ合いたかったら、このサイトの「最新情報」に掲載されている、銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神にあるソニーストア、ソニースクエア渋谷プロジェクトに足を運んでみよう。ただし購入はオンラインストアのみで、ここでの購入申し込みはできない。AIBOのオーナーだった人も、きっとその劇的な進化、生き物らしい、犬らしいふるまいや可愛らしさに驚くはずだ。

 

 

 

 

ソニー aibo ERS-1000

 

アイボリーホワイトのボディで登場した犬型のエンタテイメントロボット。大きさは幅180×高さ293×奥行き305mm。重さ約2.2kg。連続稼働時間は約2時間で、エンプティ状態からフル充電までにかかる時間は約3時間。価格はチャージステーション(チャージスタンド、チャージマット)、ACアダプター、電源コード、ピンクボール、30日間の保証付きで¥198,000円(税抜)/213,840円(税込)。これに加えてaiboを専用サーバーに常時接続するための通信費や成長に必要なサービスをセットにした「aiboベーシックプラン」の契約が必ず必要だ。3年契約のこのサービスの料金は、3年一括払い90,000円(税抜)または月々2,980円(税抜)×36回。さらに1年契約もしくは3年契約でaiboの故障など不具合の際に修理・健康診断サービスが半額で受けられるメンテナンスサービスプラン「aiboケアサポート」が任意加入のサービスとして用意されている。価格は1年契約が20,000円、3年契約が54,000円(いずれも税抜)。

 

問い合わせ先

ソニー

aibo専用ダイヤル

0120-30-2629(フリーダイヤル)

050-3754-9632(携帯電話、PHS、一部のIP電話)

http://aibo.com

 

(取材&文・渋谷ヤスヒト)

 

PROFILE 渋谷ヤスヒト

ジャーナリスト、エディター、メディアプロデューサー。モノ情報誌編集部員時代の1995年から現在まで、スイス2大時計フェアや国内外のあらゆる時計ブランドの取材を一貫して続ける腕時計のエキスパート。他にもクルマ、カメラ、家電、IT機器、ファッション、トラベル、食まで、国内外のあらゆるモノとコト作りの現場取材を続けている。