食の話題

2013.06.10

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白を基調にした茶・銀座3階のモダンな茶室は、内田 繁さんによるデザイン。

 

 

デザイン性を高めて築地と銀座に展開する

お茶を楽しむための上質な空間

 

うおがし銘茶は、店舗のデザインも秀逸だ。築地新店「茶の実倶楽部」と銀座店「茶・銀座」には喫茶室も併設されているが、まるでギャラリーのような空間なのだ。2店舗ともオープン時には建築系の専門誌でも取り上げられたほど、完成度が高い。

 

「お茶に親しんでほしい」というベースコンセプトは共通しているが、2店のイメージはまったくちがう。「お茶の庶民性を豊かに表現したかった」という茶の実倶楽部は、無垢の木材をふんだんに使っていてぬくもりが感じられる。一方、お茶の上質感を打ち出した茶・銀座は、洗練されたシャープな雰囲気が漂っている。

 

茶の実倶楽部は現代計画研究所と下山建築デザイン、橋本夕紀夫デザインスタジオが、茶・銀座は高取空間設計がデザインを手がけた。両店とも、うおがし銘茶の考える日本茶の世界観が見事に表現されている。あえて言葉にするなら「日常のなかの上質」だろうか。

 

デザイン性を高めることで付加価値をつけ、高級路線で打って出ようというのではない。うおがし銘茶にとって、デザインは、おいしい日本茶を幅広い層に訴求するための手段。だから、100gあたり1000円前後と品質のわりにお手ごろな商品が多いし、喫茶も茶菓子付きで500円に設定している。本当に気軽に楽しめてしまうのだ。

 

喫茶スペースでは、日本茶に親しんでもらうためのイベントも開催している。たとえば、茶の実倶楽部の『茶遊会(ちゃゆうかい)』は、お茶菓子や軽食とともに数種類のお茶を飲み比べながら、気軽に日本茶を楽しんでもらう企画。老舗鯛焼き店の出張実演をしたり、新茶の茶葉の天丼を出したり、毎回嗜好をこらしていて、楽しみにしている顧客も少なくない。

 

おいしい日本茶と現代のデザインを融合させ、暮らしのなかに浸透させる。うおがし銘茶の心意気を、一度味わってみてほしい。

文・久保加緒里

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶・銀座1階の販売スペースは、まるで高級ブティックのようなデザイン空間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶・銀座2階の喫茶スペース。テーブルと一体になったベンチは、江戸時代の「茶屋」を髣髴とさせる。コーヒーのエスプレッソマシーンでお茶を抽出した「お茶プレッソ」も味わえる。日本初、世界初の日本茶の新しい形だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶の実倶楽部2階の喫茶スペース。カウンターもテーブルも、贅沢に無垢の一枚板を使っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステンドグラスが美しい、茶の実倶楽部3階。ヨーロッパ調の雰囲気に仕上がっている。(※茶遊会の時のみ使用)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶の実倶楽部の4階は、木の存在感が際立つ設え。(※茶遊会の時のみ使用)