食の話題
「日本茶のある暮らし」を
デザインする茶舗「うおがし銘茶」

時代の進化にあわせて
日本茶のパッケージを新しいデザインで提案
「うおがし銘茶」は、デザイン目線を取り入れながら消費者にアプローチしている日本茶専門店だ。昨今の和モダンブームで生まれたデザイン先行のお茶屋さんではなく、80年以上の歴史を持つ老舗である。
最近では、糸井重里さんが主宰する「ほぼ日刊イトイ新聞」とコラボレートし、「ほぼ日」ブランドのお茶づくりも手がけている、注目の店だ。
悲しいかな、日本茶は、現代の生活からちょっと遠い存在になってしまっている。「古くさい」とか「かっこ悪い」とか、ネガティブなイメージが広がっている感は否めない。
でも、日本茶って、本当に「古くて」、「ダサい」んだろうか?
「おいしいお茶ってなんだろう?」と追求し続けるなか、うおがし銘茶がデザインに着目したのは25年ほど前。おいしいお茶をつくっても、見向きもしてもらえなければ意味がない。ならばデザインで訴えていこうと、デザイナーの小島良平さんにグラフィックデザインを依頼したという。
最初に生まれた「デザインパッケージ」は、画家の伊藤方也さんの墨絵が印象的な“にゅう”。「お茶は、人と人とをつなぐもの。温かさが伝わるような、素朴なデザインがいい」というコンセプトを伝えて描きおろしてもらった。以来、和田 誠さんや宇野亜喜良さん、灘本唯人さん、南 伸坊さんなどの個性豊かなイラストをパッケージに採用している。
「手に取りたくなるパッケージ」は、日本茶のネガティブなイメージを見事に払拭した。デザインされた空間に置いて様になる。もちろん飲んでもおいしいお茶だから、手土産にしても喜ばれるし、いろんなパッケージのお茶を飲み比べるのもおもしろい。
静岡産のお茶“しゃん”。和田 誠さんは、三保の松原に伝わる天女の「羽衣伝説」からイメージして描いたそう。
ネーミングも秀逸な“こんにち葉”。同じ商品でも、季節などでパッケージデザインを変えることがあるという。南伸坊さんバージョン。
「昭和の鬼才」と称される宇野亜喜良さんの女性画が印象的な“うぬぼれ”。パッケージのイラストは、お茶のイメージだけ伝えて自由に描いてもらっているという。
店内には、額装されたパッケージの原画が飾られている。実物のイラストを体験できるのも楽しい。
喫茶スペースでは、お茶とお菓子のセットが楽しめる。
5種類のお茶から2種類をチョイスできる。
陶芸作家にオーダーしているオリジナルの急須も人気。おいしいお茶を淹れるための機能と、現代の空間に合うデザインを追求した。