世界のワインめぐり
夏に飲みたい
イタリア生まれのすっきりプロセッコ
イタリアではスパークリングワイン全般のことをスプマンテと呼ぶ。スプマンテの中でもイタリアで日常的に親しまれているワインといえばプロセッコ(Prosecco)だ。現在、世界中で人気を拡大しているプロセッコの出荷量がシャンパーニュを上回った。今回はイタリア生まれ、プロセッコの魅力にせまる。
気どらない おしゃれなスパークリングワイン
仕事を終えた後の乾杯から、休日にゆったり楽しむブランチ、ビジネスでのランチミーティングなど、さまざまな場面や料理に合うプロセッコはイタリア人の暮らしに浸透しておりレストラン、トラットリア、バールなど様々な場所で提供されている。
プロセッコ(Prosecco)とはイタリアのヴェネト州で生産される白ぶどう品種グレラ(Glera)を主に使用したワインのこと。DOCG(最上級格付け)に昇格した2009年以降、プロセッコ種の呼び名の代わりにグレラという呼称が使われるようになった。
出荷量が多く最も周知されているプロセッコは発泡性タイプであるが、スティールワインも稀に生産されている。
味わいはセッコ(辛口)、アマービレ(やや甘口)、ドルチェ(甘口)など多岐にわたる。シャンパーニュと比べるとあっさりと飲みやすく、フレッシュなりんごや洋梨などのフルーティーな香りと上品な飲み口が魅力だ。
また、スパークリングワインの中でも手頃な価格でありながら、食卓に華を添える存在感も、プロセッコの人気の秘訣である。
プロセッコを使って作る 魅惑のサマーカクテル
カクテルと相性が良いプロセッコを使うと、多彩なカクテルが自宅でも手軽に楽しめる。
まず、プロセッコをベースとしたイタリアの代表的なカクテルといえば、スプリッツ・アペロール。甘くてほろ苦い大人の味とアペロールのビビットカラーが気分を盛り上げる。
ベネチア発祥のカクテルといえば、ベリーニ。桃のピュレにプロセッコを混ぜあわせると桃色の美しく上品なカクテルができあがる。
夏の暑い日、柑橘系やベリー系のシャーベットにプロセッコを注げばロッシーニという見た目もロマンチックなカクテルがあっという間に出来上がる。
プロセッコに合わせたい料理
食前酒としてはもちろん、前菜なら野菜や卵、魚介類と相性が良い。例えばクリームチーズを塗ったクラッカーや、オムレツ、野菜のグリルやカルパッチョなどと合わす事で卵、シーフードの口の中に残る風味をプロセッコのフレッシュな味わいと泡がすっきりと洗い流しリセットしてくれる。
適切なプロセッコのサービス温度は6〜8度。これは冷えた生ビールを美味しいと感じる温度でもある。ボトルを頂く際には是非ワインクーラーを使用したい。
美味しいプロセッコの選び方
美味しいプロセッコを選ぶため2つのポイントをご紹介しよう。
1つ目はボトルに貼られた「DOCGラベル」が目印だ。
イタリアの伝統的なプロセッコの産地であるヴェネト州、コネリアーノ(Conegliano)地区とヴァルドッビアデーネ(Valdobbiadene)地区で作られるプロセッコで最高格付けDOCG認定されているもの。
またDOCGの中でも特定の畑のカルティツェ(Cartizze)で作られたものはスーペリオーレ ディ カルティツェと呼ばれ、プロセッコの中でたった4%しか製造されない最高級品であり複雑性がある香りと深みのある味わいが特徴だ。
2つめはブリュット(Brut)やエクストラドライ(Extra Dry) など、ラベルに表示されている「残糖量」である。ほとんどのプロセッコが辛口ではあるが、砂糖の残糖量により表示が変わるため辛口がお好きならエクストラ ブリュット(Extra brut)、甘めが好きならアマービレ(Amabile)など、料理や好みに合わせて選ぶのも楽しい。
最後に、3大プロセッコと呼ばれるニーノ・フランコ、アダミ、ルッジェーリの3つ生産者はぜひチェックしておきたい生産者だ。中でも個人的なおすすめはニーノ・フランコ。フルーティーでさっぱりとした味わいと清涼感に、コストパフォーマンスの良さもポイントだ。エチケットのセンスも良く、来客時にも大活躍のワインだ。
暑い夏、すっきり爽快なプロセッコで暑気払いの乾杯はいかがだろう。
マリーニ あゆみ
Ayumi Marini
福岡県出身。イタリアソムリエ協会認定ソムリエ・元客室乗務員。モデル、IT企業、留学など経験後、結婚を機にイタリアへ移る。ワインの宝庫ピエモンテとトスカーナでワインを学びプライベートワイナリー訪問のコーディネートを行う 。現在はアメリカ在住。旅とワインのブログではおすすめワイナリーや旅の様子を発信中。https://asmwine.com/